なぜ謎解きはパズルよりも急速に広まったのか

謎解きも好きだし、パズルも好きな自分としては、これだけ謎解きが広まってきているので、頭を使う娯楽という点で似ているところが多いパズルも、このタイミングで広まっていって欲しいと思っているのですが、なかなか広まっていない気がします。
そこで、なぜ謎解きは、パズルよりも爆発的に広まっているのか、謎解きとパズルの違いという観点で挙げてみたいと思います。
思いついた順なので、重要度と順番は一致していません。
なお、分かりやすいように、わざとちょっと極端な書き方をしています。
また、謎解きは公演型の謎解きに限定します。また、パズルもペンシルパズルに限定します。
(そもそもですが、ペンシルパズルという言葉、もっとみんなに伝わるような、分かりやすい表現があるといいのですが… パズル雑誌に載っているようなパズルという感じです。)

● 最後の快感
盛り上がりを考えた時、パズルはどうしても途中でクライマックスが来ることが多くなりがちです。
それに対して、謎解きは最後の大謎で感動のピークが来ることが多いと思います。
その結果として、パズルにも完成した達成感はあるものの、終わった後の満足度が謎解きの方が高いことが多い気がします。

● 最後にすっきりして終われる
パズルは解けないと、もやもやして終わってしまうのに対して、謎解きは解説があるため、一応すっきりした状態で終えることができます。

● 解説の派手さ
パズルの解説は今のところ、ほとんどが地味なのに対して、謎解きの解説は、スライドをバリバリ使った派手なものが多いため、視覚的に訴えてきます。

● これなら自分でもできたかも感
謎解きの定番フレーズ「あなたは気づかなければなりませんでした」。
そうです、謎解きはみんなが気づける、解けるように作られているので、失敗した際、解説を聞くとこれなら、自分も気づけたはずなのに悔しいという思いが出てきます。
パズルの難問解説を聞くと、凄いなあ、これは自分には無理だったなあという風になることもあります。

● 解説の短さ
パズルの難しい問題の解説は、答えに至るまでの論理の流れが長いのに対して、謎解きの大謎の解説は、説明は長いことも多けれども、一番のポイント部分の説明は短く済むことが多いです。

● ヒントや制限時間による適度な諦めやすさ
詰まってしまっている時間が続くと苦痛になってきます。
謎解きの場合、ヒントシートがあったり、暗躍が助けてくれたり、制限時間があったり、その苦痛を感じる時間が長くならないような仕組みがあります。

● 謎解きはレベルアップするためにスモールステップできる問題が豊富
謎解きは様々なレベルのものがなだらかに存在するので、経験を積んでレベルアップしやすいと思います。
対して、パズルは超初心者向け、ニコリユーザー向け、競技パズル向け、に分かれていて、その間を埋めるものが少ない気がします。
特に、ニコリレベルと競技パズルレベルの差が大きい気がします。
ナンプレに関しては解き方の本が充実していますが、それ以外のパズルに関しては、解き方の解説書はほとんどないというのが実情です。

● コラボものが存在する
謎解きだと、コラボもののイベントでは普段謎解きしたことがない人が参加するということが結構あります。

● 途中の演出
謎解きは途中で様々な演出があり、謎解きが得意でない人でも飽きない仕掛けがあります。

● 協力することで乗り越えられる
パズルは元々一人で解くことを想定して作られているものがほとんどなので、みんなで一緒に解くのがやりづらいものが多いです。
謎解きも一人で解いていると詰まってしまい、苦痛になってしまうこともありますが、みんなで解くので、そこを乗り越えられていると思います。

● 終わった後の共有感
パズルは一人で解くことが多いのに対して、謎解きはチームで解くことが多く、終わった後に感想戦が存在します。

● チュートリアルの存在
多くの謎はルール把握に時間がかかることはないですし、ルール把握に時間がかかるような謎は、その前に小謎を解いていて、脳のエンジンがかかっている状態だったり、事前に丁寧な説明があったりするので乗り越えられるということがあると思います。
パズルでもルール解説を頑張っているものはあるのですが、チュートリアル的なものがもっと充実しているとよいのではと感じるがあります。

● 質の良い悪いの分かりやすさ
数独ブームの際に質が低いものが大量発生してしまい、良質な問題を経験できず、パズルあんまり面白くなかったという風に感じてしまった人がいるのでは。
その原因は、これは良い問題なのか、悪い問題なのか、解き慣れている人でないと、判断しづらいことが原因では。
一方で謎解きは良問が分かりやすく、更に、テレビでも東大ナゾトレのような良問の基準となるような問題が出題されているため、悪問が淘汰されているように思います。

● 伏線回収
ミステリー小説のような伏線がほとんどの謎解きにはあって、その伏線回収の気持ちよさが快感につながります。
パズルにも、そういう仕組みが入っている問題もあるのですが、分かる人にしか分からない伝わりにくさがあるように思います。

● 1問にかかる時間の長さ
謎解きは大謎でも1つの段階は数分で終わるものがほとんどであるため、パズルよりも気軽さがあります。

● 見た目 デザイン
見た瞬間に思わず解きたくなるというものが、謎解きの方が多いように思います。
(本当はパズルもある程度わかっている人であれば、盤面の配置などから思わず解きたくなるものなどあるのですが…)

● 誰でもその回のヒーローになる可能性がある
最後の大謎は謎によっては初心者がふと思いつくことも十分にあり、誰でもそのチームのヒーローとなり誉めたてられる可能性がある、というのは参加するモチベーションにつながります。

● 参加するごとに成長が感じられる
謎解きは経験を積むごとに前よりも謎が解けるようになっているのが、体感しやすいと思います。

● 初心者と上級者の逆転現象の起こりやすさ
本当は解神や謎検で分かるように、スポーツで一般の人がアスリートに勝てないように、人間の持っている能力の限界、超えられない壁というのが、謎解きにもあるのですが、一部の難問謎を除き、そういうものをあまり感じさせない謎解きが主流を占めていると思います。
パズルは難問を解こうとすると、すぐにこの壁にぶつかってしまいます。

● 練習が必要なさそうに感じられる
本当は謎解きも経験がものをいう部分がかなりあるのですが、その部分が初心者には見えづらいお陰で、経験がない人でも成功できるのではという期待感を持てます。

● ゲーミフィケーションの要素を含んでいる
今までいろんな要素を述べてきましたが、結局のところ、この結論に行きつくのかなと思っています。
謎解きイベントには、色んなところにゲーミフィケーションの要素が使われています。
そのことを知らない制作者もいるかもしれませんが、謎解き全体としては、かなりゲーミフィケーションについて研究がなされているように思います。
その結果がこの人気につながっているのではないかと思います。
パズルとゲーミフィケーションが組み合わさったらどうなるのか、考えてみたら面白いのではないかという気がします。

謎解きでは、どういったところにゲーミフィケーションが使われているかについては、また別記事で書いてみたいと思います。

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