99%の日本人がわかっていない 国債の真実

~こんな人にオススメ!~
単純に国債についてよくわかってない方!
日本(日銀)の政策にポジティブな印象をお持ちの方!
高橋洋一って金融業界で一廉の人物だけどどんな感じなんだいという方!

自身のテンプレなので書きましたが、正直結構偏りあるなという印象でしたので、積極的にオススメしたいとは思わないかなー…という感じです。
なんでAmazonのレビューあんなに高いんだろう。

何年前に買った本かも覚えてません(笑)
3年前くらいだった気がしますが、本書は2017年発売のようです。
しかもリンク貼ろうと思ってぐぐったら本書はKindleUnlimitedに…。
それはいいとして、「新」がつくものも出ているようです。
ただ、目次からすると基本は同じ内容のようですので、一部追加版て感じでしょうか。

本書はいたるところで著者の「これくらい知っとけよ」「何もわかってない感じで国債や日銀についてしゃべってるやつらなんなの」的な雰囲気がにじみ出ています。
わたし自身毒属性のため別に不快感はなかったですが、そういった毒成分を嫌う方は気になるかもしれません。

内容ですが、最初に国債についての基礎知識を嚙み砕いて説明しています。
なのでとても分かりやすいです。
ただ序盤の説明以降は、なんと表現したらいいか悩みますが、なんというか軸をずらされてる感じ?があります。
なのでちょこちょこ疑問点が思い浮かびます。

例えば国債がなくなる(=ゼロ借金となる)ことに対する反論として、
”国債は、金融市場において「お金」、あるいはかつての「コメ」のような役割”
と述べています。さらに、
”「お金と同じ役割なら、お金だけもっていればいいではないか」という意見”
に対して
”お金はお金としてもっている限り、利益を生まない。でも、国債は国の借金であり、利子がつく”
”ちょっとの利払いでも得ていかなくては商売を続けられない”
としています。
国債が果たす株や社債の取引を円滑にするための役割について書かれていますが、間に立つ潤滑剤としての役割はあくまでお金でいいのではないか?、国債は安定利子としての商品とみればいいのではないか?と割と普通な疑問を持ちました。
個人単位でいう現金=お金、預金=国債みたいなイメージです。
その場合の国債のお金に対する優位性はいまいち分かりませんでした。

他にも割と疑問点多いです。
・国債発行量に関して民間金融機関が国債を購入し続けているんだから需要と供給の関係から問題ない、とありますが、著者も述べているとおりわずかばかりの利子である日本国債を購入するのは、民間金融機関が政府圧力等需給の関係以外の理由から購入しているということはないのでしょうか。
・【「国債発行残高はGDPの200%」を心配しなくていい理由】というタイトルにも関わらず、まだ買い手がいるんだから問題ないというのは論点がずれてる気がします。仮に今、市場キャパが250%だとして市況の変化で200%に変化した場合、アウトなのではないでしょうか。
・国債利子と日銀の国庫返納金の関係は理解しましたが、それではなぜそもそも日銀買入を原則禁止とされ、それが今では行われているのでしょうか。後半で昔からやってる的な記載がみられますが、量的論点は欠けていたように思います。政府(日銀)発インフレを防止するためであれば、そもそも原則禁止とする必要もないと思いますが、別観点があるのでは?と勘繰ってしまいます。
・なるほど財務省が財政破綻を裏でささやくのが本当だとしても(正直に言うとこれも著者一方の意見という気がします)、”財政破綻も国際暴落も「要因」がほとんどない”とする論拠が示されていないと思われます。

といった具合です。
ここまでで本の進捗度が約40%ですが、国債とはといった基礎知識が冒頭にあるので、20%程度の分量での疑問点という感じです。
これ以降の疑問点も書き連ねていくとさすがに長くなるので省きます。

ということで、理論やら知識やらはみられるんですが、エビデンス?的なものがあまり見られなかったような印象です。
反対意見に対してはエビデンスっぽいものが出たりしますが、それも結構歪曲しているように思われます。
何が真実かは分かりませんが、財政破綻を悲観の極致とするなら、この本は楽観の極致なような…難しいです。

部分的には、例えば「教育国債」の提言のように、賛同できる箇所もありましたので(あえて言わせてもらうと、教育国債については他の国債と「色分け」してもいいとは思いますが)、真っ向から否定する気もありませんが、全体のテイストとするとうーん…という感じです(笑)
そもそもこの本を手に取られるような方で、国債=絶対悪と決めつけで考えている方や、悲観や楽観の極致にある方はそこまで多数ではないのではと思います。
個人的には、国債の持つ性質というよりも、支出ありきでの国債発行の在り方や、その量の多寡やキャパシティ、それに伴う先行き不安を気にしていて、その裏付け(データやエビデンス、過去現在未来の状況把握)が欲しいと思っていたので、そういった意味ではあまり望んだものは得られなかったかなと思います。

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