「作者は人の心がない」という言葉が苦手だと言う話

「この作者は人の心がないのか」
最近、漫画やアニメなどの感想でこのような言葉を見る機会が増えた。
特にキャラが理不尽に死んだり、かわいそうな目にあいがちみたいな重い内容の作品によく言われる感じだ。
元々はとある漫画のコマのセリフがミームになったことがきっかけらしい。
作品の壮絶な内容にショックを受け、つい感情的になってそんな気持ちになってしまうのもわからなくもない。
大体ジョーク的に言われることが多い言葉なのだが、僕はそんな「作者は人の心がない」という言葉が苦手だ。
理由としては、シンプルに作者の人格の否定になるし、それに作品が作者の人格を表しているとは限らないからだ。
作者がかいた物語がいくら壮絶でも、作者自身はとても優しい人だってことがよくある。

例えば、僕の好きなとあるゲームがあり、そのゲームの内容も重いものであったのだが、そのゲームの作者に対して「人の心がない」「ショックを受けてる俺らをみてゲラゲラ笑ってるのだろう」
と(直接ではないものの)ツイートしていたのをみてとても不快な気持ちになったことがある。
そのゲームの作者は、いつもファンに対して感謝の気持ちを述べていたり、過去にBLMやSTOP AAPI HATE運動に繋がった事件を受けて(そのゲームの作者もアジア系の人である)団体にメッセージ付きで寄付をしたり、最近でもロサンゼルスの猫の保護団体にも寄付をしていたりと、そんな優しい人が人の心がないわけないだろう。本当に人の心がなかったらいつものようにファンに感謝するか?団体に寄付するか?
それに、そんな言葉はシンプルに人格否定につながる。人格否定されたら傷つくしつらい気持ちになる。
僕自身も創作人間なので、よく物語を描いたり考えたりするし、たまにかわいそうな話も考えることもある。なので「この作者は人の心がない」と言う言葉を見るたび、これを自分が言われたら…
となり勝手につらい気持ちになってしまう。
本当はそのキャラをそんな目に合わせたくなかったかもしれないし、読者にも申し訳ないと思う作者もいるだろう。
だけど、作品の質を深めるために、面白くするために、自分の描きたいものを描くために、そんな嫌な展開にしてしまうのもとてもわかる。読者からしたらたまったもんじゃないのもわかる。
しかしだからといって、「人の心がない」なんて言うのはいかがなものかと思ってしまう。
個人的な話になるのだが、僕は幼少期、僕が失敗ややらかしをするたびに親から人格否定をされることがあった。「お前バカか?」と連呼されたり、家具の組み立てがうまくできなかった時に「使えないな」と言われたりして落ち込んだことがある。だから人格否定につながる言葉なんて絶対作品の感想になんて使うな。と強く思う。

キャラクターが酷い目にあったりしているのに対し、その怒りや悲しみの矛先を作者に向ける気持ちはわからなくもないが、普通そのキャラを酷い目に合わしているキャラとかの方では?と思う。僕だってそうだ。キャラクターが可哀想な目にあったら可哀想な目に合わせているキャラに対して「許せねえ!」になる。ただ作者にそんなことを思うことはない。

「作者は人の心がない」
そんな人格否定にも繋がるような言葉が半ばオタクのミームになっていることに少し恐怖を覚えてしまう今日この頃。
そもそも、そんな言葉を作者の前で直接言えますか?そういうことだ。
この記事を読んでくれている人がいたら、どうか、作品の感想を述べるときなどは言葉遣いには気をつけてほしい。そして、相手がよっぽどの悪とかではない限り、人格否定を絶対にしないでほしい。

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