見出し画像

Ducati 750GT ~Lツイン・ドゥカティの萌芽~【3rd page】

◇各部詳細

750GTの各部を観察してみましょう。

まずはエンジン。

エンジンの話になると、内部構造(メカニズム)のことばかりに話題が集中しがちですが、ドゥカティが初めて作ったLツインエンジンは、外観にも大きな特徴があります。

全体的なシルエットが“曲線的”なのです。

シリンダーやクランクケース等主要部位の形状が丸みを帯びており、女性的な美しい形をしています。

通称「ラウンドケースエンジン」と呼ばれ、現在でも特に旧いドゥカティを好むマニアの間では、羨望の眼差しを向けられています。

メカニズム的なところでいくと、基本的な設計としては、挟角90度の4ストロークL型2気筒エンジンで、OHCをベベルギヤ(傘型の歯車)で動かします。

爆発間隔は270°-450°。

270°-450°というのは、現在のLツインも同じです。

現行モデルではベベルギヤが無くなっていたりはしますが、エンジンを構成する基本要素は今もあまり変わりませんね。

一方、ドゥカティのエンジンといえばデスモドロミック機構が有名ですが、750GTのエンジンはデスモエンジンではなく、ごく一般的なバルブスプリングが使用されています。

デスモドロミックが採用されなかった理由は明確ではありませんが、おそらく当時の技術では750ccという大排気量の2気筒エンジンの許容回転数を高めることが難しく、デスモドロミックの利点を十分に活かすことができなかったからではないかと思われます。

エンジン以外の車体各部にも、見どころがいくつかあります。

初期型の750GTには、『450デスモ』の“シルバーショットガン”と同じメタルフレーク塗装が施されていました。

また燃料タンクが金属製ではなく、グラスファイバー(FRP)製だったことも初期型の特徴といえるでしょう。

72年以降のモデルに関しては、塗装も一般的な仕様となり、タンクもスチール製のものとなりました。

さらに加えると、初期型はエンジン始動方式がキック式のみでしたが、72年あたりから海外輸出が本格化したこともあって、72年以降に製造された車両にはセルフスターター(セルモーター)が追加で装備されるようになりました。

その他、キャブレターについては初期型~73年式まではアマル製、74年式(最終年式)では加速ポンプが付いたデロルト製のものとなっていました。

4th pageへ続く

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?