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AIにランキングをやらせてみたら

『チョコレートを食べたことがないカカオ農園の子どもにきみはチョコレートをあげるか?』でも紹介しているランキングの問題を、AI(人工知能)にやらせてみたら、どうなるだろう???
 さっそく試してみました。

【問い】
 日本で暮らす外国人の数は、現在、約350万人。日本の人口の35人に1人が外国人です。そのような状況の中で今、国籍や文化の違いを超えて「多文化共生」の社会を実現することが求められています。しかし、言葉や文化、価値観などの違いからくる問題は、簡単にはなくなりません。私たちは、どのようにして問題を解決していけばよいのでしょうか。
 以下に、「多文化共生」の社会づくりのための取り組みとして、9つの方法が記されています。
 これらの取り組みの順位づけをしてください。いちばん必要なこと、最初にすべきことをいちばん上に、最も遅くてよいこと(あるいは、最もすべきでないこと)が、いちばん下にくるように、A~Iの記号を並べてください。また、そのように考える理由も示してください。

A いろいろな国のことばで対応できる「相談窓口」をつくる。
B ことばや生活習慣の違いで困っている人を助けるボランティア活動をする。
C 国際交流のイベントを開催する。
D テレビ、ラジオ、インターネットなどを利用し、いろいろな国のことばで情報を流す。
E 学校や地域で「国際理解教育」に力を入れる。
F 身近なところにいる国籍や文化の違う人と友達になる。
G 外国人に対して差別的な行いをした人を罰する。
H 外国人の参政権を認める。
I 自分の文化に誇りを持ち、自分らしく、のびのびと生きる。

 こういうランキングの問題に「正解」はありません。
 その問題について、いろいろな角度から考え、他の人の「答え」と比べながら意見交換をすることによって、どんどん考えが深まっていくのが、ランキングのおもしろさで、ABC・・・の選択肢は、議論の「きっかけ」でしかありません。いろいろ考えているうちに、はじめはなかった、JとかKとか、新しい選択肢を思いつくこともあります。ワークショップでは、それもまたありなのです。
 たとえば「相談窓口」にしても「国際理解教育」にしても、どんな「窓口」をつくるのか、どんな「国際理解教育」を行うのか、そのイメージは人によってまちまちなので、AからIの選択肢を、数学のように誰がみてもそれしかないという形に並べることは、そもそも不可能なのです。
 AIがそのことに気づいて、「この問題を解くことは不可能です」とか「各選択肢をもっと具体的に示してもらわないと答えることはできません」といった答えが返ってくるかもしれないな、と思ったのですが、意外に素直に答えてくれました。

【ChatGPTによる答え】
以下は「多文化共生」の社会づくりのための取り組みの順位づけとその理由です。

A いろいろな国のことばで対応できる「相談窓口」をつくる。
理由: まず、外国人が直面する日常の問題に迅速に対応するためには、相談窓口が重要です。生活上の困難や緊急時に頼れる場所があることで、安心感が生まれ、スムーズな社会参加が促進されます。

D テレビ、ラジオ、インターネットなどを利用し、いろいろな国のことばで情報を流す。
理由: 外国人が日本の社会やルール、サービスについて理解するために、多言語での情報提供が不可欠です。これにより、生活の質が向上し、孤立を防ぐことができます。

B ことばや生活習慣の違いで困っている人を助けるボランティア活動をする。
理由: ボランティア活動を通じて、外国人が日本社会に適応しやすくなるだけでなく、日本人と外国人の交流が深まり、お互いの理解が進みます。

E 学校や地域で「国際理解教育」に力を入れる。
理由: 若い世代から多文化理解を促進することで、将来的に差別や偏見が少ない社会を作る基盤を築くことができます。

C 国際交流のイベントを開催する。
理由: イベントを通じて、外国人と日本人が直接交流する機会が増え、お互いの文化や価値観を理解する手助けになります。

F 身近なところにいる国籍や文化の違う人と友達になる。
理由: 個人レベルでの交流は、多文化共生の基盤となります。日常の中で友人関係を築くことは、理解と協力を深める重要なステップです。

I 自分の文化に誇りを持ち、自分らしく、のびのびと生きる。
理由: 自分の文化に誇りを持つことは重要ですが、多文化共生の文脈では、まず他者の文化を理解し尊重する姿勢が求められます。

G 外国人に対して差別的な行いをした人を罰する。
理由: 差別の防止は重要ですが、罰することよりも教育や理解を促進する方が長期的には効果的です。

H 外国人の参政権を認める。
理由: 参政権の付与は重要な議題ですが、まずは日常生活での問題解決や理解促進が優先されるべきです。参政権はその後のステップとして考えられます。

 どう思いますか?
 わりとオーソドックスというか、無難というか、実際のワークショップでも、わりと多く出てくる意見のように思います。参加者全員の「平均値」をとると(日本人の場合)、こういう答えになるかもしれません。
 でも、ワークショップが面白いのは、ここから先の議論なのです。
 ときに“少数派”の意見が、とても説得力をもって参加者に響くことがあるので。

 実際のワークショップではどんな意見が出てくるか・・・それについては、『チョコレートを食べたことがないカカオ農園の子どもにきみはチョコレートをあげるか?』を読んでみてください。

本の紹介はこちら
https://www.junposha.com/book/b644006.html

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