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パネルディスカッション『2020年eスポーツのこれから』 #京都eスポーツサミット 2020 Winter

こんばんは!

2020年1月12日(日)京都四条の京都経済センターで行われた『京都eスポーツサミット 2020 Winter』のプログラム「登壇者5名によるパネルディスカッション『2020年eスポーツのこれから』」の様子をお伝えするnoteです。

今回の『京都eスポーツサミット 2020 Winter』のレポートは全部で3つです。
他の二つもぜひご覧ください。
 ①【イベントレポート】eスポーツに大事なことは「わかりやすさ」だ!
 ②「アプリのヒットはとても幸せだったけど苦しかった」 Yuta Yabuzakiさんによる「どうぶつタワーバトル制作ウラ話」
 ③パネルディスカッション『2020年eスポーツのこれから』(このnoteです)

パネルディスカッションのお題

『観戦して盛り上がるタイトルってなんだ!?』
『競技として盛り上がるゲームの共通点ってなに!?』
『2020年eスポーツとして盛り上がって欲しいジャンル』

登壇者

(トップの写真、左から)

ACQUA(アクア)さん
株式会社ブシロード プロデューサー

倉持由香さん
女子e-sportsチーム「G-STAR GAMING」 プロデューサー

谷田優也さん
ウェルプレイド株式会社 代表取締役CEO

富永彰一さん
有限会社キュー・ゲームス クリエイティブディレクター
JIGA(一般社団法人日本インディペンデント・ゲーム協会) 理事長

トンピ?さん
esportsキャスター&イベンター


お題の前に。『初めてプレイした対戦ゲームはなんですか?』

トンピさん:よろしくお願いします。まずはお題に入る前にみなさんが初めてプレイした対戦ゲームについて教えて下さい。

ACQUAさん:『THE KING OF FIGHTERS』が初めての対戦ゲームでした。それからトレーディングカードゲーム『マジック:ザ・ギャザリング』にハマって、世界大会に出場するほどやりこみました。一度ハマってしまうと1番にならないと気が済まない性格です。

倉持さん:私は『ストリートファイター2』ですね。高校生の時には『ストリートファイター4』にハマっていました。その頃に出会ったふーどさんと去年11月に結婚しました。

谷田さん:僕も倉持さんと同じゲーセンに通ってました。やけにかわいい女子高生がいるなぁと思っていましたね。

倉持さん:ゲーセンでは筐体の後ろで「ベガ立ち」しながら上手い人達のプレイを眺めていましたね(笑)。ACQUAさんの大会遠征について行ったこともあります。

(参考)「ベガ立ち」とは

谷田さん:私はファミコンをよくやっていました。eスポーツ的なタイトルでいうと『ストリートファイター4』が初めてです。10年ぐらい前ですね。それまではゲーセンに行ったことがなくて家庭用で練習してからゲーセンに行くようになりました。

富永さん:私の場合は、ファミコンよりも前になるのですが卓球のように二人のプレーヤーがラケットで動いている玉を打ち返し合う『PONG(ポン)』というゲームが初めての対戦ゲームです。

谷田さん:『PONG(ポン)』はコンピュータゲームで初めての対戦ゲームと言われていますね。

トンピさん:私の家ではゲーム禁止でした。高校生になってからゲームをするようになってFPSゲーム『SPECIAL FORCE』にどハマり。禁止されていた分、やり始めるとすごくゲームにハマってしまったので、最近話題になっているゲーム禁止はダメですよ。


お題『観戦して盛り上がるタイトルってなんだ!?』

谷田さんやはりゲームは内容を理解をすることで盛り上がっていきますよね。例えば卓球やラグビーでもルールがわかるほどに面白くなってくる。専門用語をテロップなどで詳しく解説できる環境が整ってくれば観戦時間が伸びていくでしょうね。

先ほどエキシビジョンマッチをした『どうぶつタワーバトル』はルールがわかりやすいですよね。どうぶつが置けるかどうか落ちるかどうかわからない中で、成功すると観てる人たちも盛り上がっていました。プレーヤーのストーリーや表情を捉えた演出などがあってもいいですね。

それと格闘ゲームの観戦も盛り上がります。なぜ盛り上がるのか考えてみると体力が0になった方が負けというわかりやすいルールだからだと思います。実際の格闘技を観戦するよりもわかりやすいのではないかな。
圧倒的に不利で負けそうな時に逆転するなど"観戦者の想像を超えた時"に歓声が上がるほど盛り上がりますよね。

トンピさん:最近のゲーム大会の配信では、対戦しているプレーヤーが有利か不利かをバーで表示するなどして観戦をしやすくする取り組みもあります。

倉持さん:格闘ゲームでいうと、技を出した時に画面が暗転したり、キャラクターのカットインが出てくるので、「これはすごいことが起きるぞ」と観戦している人に思ってもらえます。あるテレビ番組ではキャラクターの体力ゲージをあえて数値で表している演出もありましたよ。

トンピさん:中高生、ファミリー層、主婦に受けるようなeスポーツがあっても面白いですよね。

富永さん:歳を取ると動きの速いゲームだと目が追いつかないですね。

谷田さんそう意味では反射神経だけで勝敗が決まらないタイトルがあってもいいですよね。シニア向けタイトルで全国の老人ホーム対抗戦をするのも面白いでしょう。


お題『競技として盛り上がるゲームの共通点ってなに!?』


谷田さん:これまでのお話でゲームが盛り上がるには『ルールに詳しくなる』『ルールがわかりやすい』『逆転がある』などの共通点がありました。ここからは『競技として盛り上がるゲームの共通点』を話していきたいと思います。

ACQUAさん:自由度の設計という点で、日本と海外でルールの好みが違っています。海外ではランダム性のある運が絡んだゲームは敬遠されます。実際にスマブラではランダム性のあるキャラクターの使用が禁止された大会がありました。

「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」のドラゴンクエストの勇者は、何が出て来るのかがそもそも分からないコマンド技など、数々のランダム要素を持つキャラクターなので、競技シーンにはふさわしくないキャラだとして、排除される形になっています。
スマブラ スペシャル、DQ勇者を使用禁止にする大会が登場し話題に

谷田さん:倉持さんがプロデュースするe-sportsチーム『G-STAR Gaming』では、所属する選手にどういうゲームを勧めるんですか?

倉持さん:10名ほどが所属していますが、基本的にはそれぞれの選手が興味を持っているゲームをやってもらっています。あとは人口が多いゲームですね。やはり人口が少ないと運営的に厳しいです。オンライン対戦環境が良いゲームも推奨しています。
チームには格闘ゲームをプレイする選手が多いのですが、別のゲームを観る機会が増えるので行き来はありますね。

谷田さん:今までの対戦ゲームは対戦していてもそばにいる人に勝った負けたとわかるのですが、オンライン対戦が簡単にできるようになってきてからは「誰に負けたかわからないモヤモヤした感情」が生まれるようになりました。これは人類が初めて感じる感情だと言われています。以前までのオンライン対戦では一度勝敗が決まると対戦相手と巡り合うことがなかなかなくて感情の落としどころがむずかしい。そこで最近では負けた相手に再戦を挑めるようになっているので負けた時の感情を取り返しやすく設計されています。

トンピさん最近のゲームは「頻繁に行われるアップデート」も特徴ですね。バトルロワイヤル『Fortnite(フォートナイト)』は毎週ゲームの内容に変更があります。

谷田さん:たしかに飽きを生みづらいという側面はありますね。『ストリートファイター5』でも毎年年末に大きなアップデートがあります。強かったキャラクターを使っていた選手は1年間いい思いをしていても、次の年にはそのキャラクターが弱体化をされてしまったりして大変です。

ACQUAさんプロは複数のキャラクターをやりこむ必要がありますね


お題『2020年eスポーツとして盛り上がって欲しいジャンル』

ACQUAさん:みなさんは、今年のeスポーツではどういうジャンルが流行ると思いますか? 私は格闘ゲームが盛り上がってほしいです。というのも2020年は格闘ゲームの新作がたくさん出る年なんです。

『グランブルーファンタジー ヴァーサス(GBVS)』
『GUILTY GEAR -STRIVE- (ギルティギア ストライヴ) 』
『ストリートファイター5 チャンピオンエディション』
などが期待されている格闘ゲームですね。どれも面白いはずですので遊びます。
今月末には対戦格闘ゲームの祭典『EVO Japan』も開催されますね。(1月24~26日幕張メッセで開催)

もう一つ盛り上がってほしいのはカードゲームですね。カードゲームはルールがわからないと観る側にはとっては楽しみにくいんですよ。アナログからデジタルになってカードの効果などを表示する工夫されるようになってきましたが、それでも盛り上げるための演出などは20年来の課題です。

谷田さん正直なところ私は全部のゲームジャンルが盛り上がってほしいですね! グローバルに展開してるゲームは大きい大会を開いているのですが、規模の小さい大会が開かれてもいいと思ってます。日本のゲームが大好きなのでぜひ盛り上がってほしい。もちろん今日講演されていたYabuzakiさんの『どうぶつタワーバトル』も大会を開いてもらいたいですね。

富永さん私はカジュアルなゲームを作っているので、もっと気軽で敷居の低いジャンルが整理されて盛り上がってほしいです。これからは通信速度の速い『5G』規格の通信が使えるようになるので、それを活用してゲームの観戦をしてみたいですね。

トンピさん:数十名から100名で戦うバトルロワイヤルゲームが流行っていますが、5Gが使えるようになると1万人規模のゲームが出てきてもおかしくないですよね。

谷田さん観てる人が参加していると感じられることも大事ですね。例えばゲーム配信プラットフォームでは観戦者の投げ銭が配信者の報酬になります。

倉持さん:競馬でも100円賭けてやってみると、気持ち入りますもんね(笑)。

谷田さん:そうです(笑)。観戦してる人もゲームを「自分ごと化する」って本当に大事です。

ACQUAさん今年はオリンピックの年なのでリアルスポーツ系のゲームも盛り上がっていいでしょう。オリンピック公式のゲームもありますし、任天堂は『マリオ&ソニック AT』をリリースしています。

谷田さん:今年盛り上がらなくてどうするんだって感じですね。


パネルディスカッション振り返り

パネルディスカッションを振り返ると、登壇者に格闘ゲームをされる方が多いので(ACQUAさん、倉持さん、谷田さん)、格闘ゲーム寄りの話題が多かったです。格闘ゲームはeスポーツの中でも比較的ルールがわかりやすく観戦の敷居が低いですね。

『競技として盛り上がるタイトル』の話題では、「顔の見えない相手に負けた時の感情は人類が今まで経験したことがない」と谷田さんがおっしゃっていました。たしかにそうだなと納得する部分と、自分はそれについてどうやって折り合いをつけていたのかなと考えました。僕の場合はひたすら対戦と勉強を繰り返して上達するようにしていたと思います。

とはいえ対戦相手の顔が見えるから良いということでもありません。勝敗によって兄弟・友達と喧嘩したり、昔のゲーセンに至っては向かい合っている対戦台から灰皿が飛んでくることなんてこともありました…僕も怖いお兄さんに絡まれたことあります。ゲーセンの店員さんに助けてもらった記憶。

また今のゲームはファミコンやスーパーファミコンの時代と違ってアップデートをすることで内容を変更できるようになりました。それにより対戦ゲームのキモであるキャラクターのパワーバランスが変動しやすいのです。谷田さんがおっしゃるようにゲーム内容の変化は飽きにくくする要因ですが、プロとしてeスポーツを生業にする方はゲームの巧さだけでなく環境の変化への対応を余儀なくされていて、一筋縄でいかないとても厳しい道を選ばれています。

リアルスポーツにちなんだゲームでいうと『デカスリート』を思い出します。ひたすらボタンを連打してキャラクターを走らせたりして競うゲームでした。個人的にはオリンピックだからといってリアルスポーツを題材にしたゲームは流行りにくいと思ってます。リアルスポーツの有名選手がゲームも楽しんでる様子などがSNSなどで見られるようになれば少しは流行るかな。ただ選手はオリンピックシーズン真っ只中なのでゲームをしている余裕はないでしょうね。


最後までお読みいただきありがとうございました!

今回の『京都eスポーツサミット 2020 Winter』のレポートは全部で3つです。
他の二つもぜひご覧ください。

 ①【イベントレポート】eスポーツに大事なことは「わかりやすさ」だ!
 ②「アプリのヒットはとても幸せだったけど苦しかった」 Yuta Yabuzakiさんによる「どうぶつタワーバトル制作ウラ話」
 ③パネルディスカッション『2020年eスポーツのこれから』(このnoteです)

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