なぜ個別株はインデックスに勝てないのか

1. 序論

現代の投資戦略において、個別株とインデックスファンドのどちらが有利かという議論はよく耳にします。特にインデックスファンドが市場全体に連動するのに対して、個別株を選ぶ際には高度な分析やリスク管理が必要です。このブログでは、なぜ個別株がインデックスに勝てないのか、ファイナンス理論の視点から解説します。


2. 効率的市場仮説とは

「効率的市場仮説」(Efficient Market Hypothesis)とは、市場に出回っている全ての情報が株価に既に反映されているという理論です。この仮説に基づけば、個別株を割安と判断して買うことがリスクであるとされます。市場が常に情報を織り込むため、過去の数値に基づいて個別株を購入することは、すでにその情報が反映されており、予想通りの利益を得られない可能性が高いです。


3. 割安株のリスク

特定の割安株を選ぶ際、多くの投資家はPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などの指標に基づいて判断します。たとえば、日産自動車は、PERが3.5倍、PBRが0.25倍と非常に低い値です。しかし、このような「割安」に見える株であっても、その背後にある業績や市場の予測によっては、逆にリスクが高まることがあります。

日産の業績が赤字に転落する可能性を例に挙げ、過去の情報に基づいた判断だけではなく、未来のリスクを考慮しなければならないと強調しています。たとえ現在の数値が魅力的に見えても、それは「バックミラー」でしかないという表現が使われており、未来の業績を見越した投資判断が重要であることが示されています。


4. 情報の優位性とインデックスの強さ

個別株でインデックスに勝つためには、一般投資家以上の情報優位性が必要です。動画では、具体例として情報に基づいて適切なタイミングで売買を行うことの重要性が挙げられました。しかし、ほとんどの個人投資家は公開されている情報にしかアクセスできず、プロの投資家やファンドマネージャーに勝つのは難しい状況です。

効率的市場仮説が正しければ、市場全体に連動するインデックスファンドのほうが長期的には有利であり、情報の非対称性を利用しない限り個別株での勝利は難しいとされています。


5. 投資のロマンとインデックスの魅力

個別株投資のもう一つの側面として、「ロマン」が存在します。投資家が市場で勝ち続けることに夢を持って取り組む様子が描かれています。しかし、長期的に安定してインデックスに勝つことは非常に難しいとも述べられています。

インデックス投資は、リスクを抑えつつ市場全体の成長に参加できるため、特に初心者や長期投資を目指す人にとって魅力的な手段です。インデックス投資の最大のメリットは、そのシンプルさと長期的な安定性にありますが、動画ではこれを「つまらない」と表現し、個別株投資の楽しさも認めています。


結論

個別株がインデックスに勝つことは理論的にも実務的にも非常に難しいという結論に至ります。市場が効率的である限り、割安株を選んだり、特定の情報を基に投資を行うことで市場全体を上回るパフォーマンスを持続するのは至難の業です。しかし、投資には「ロマン」があり、投資家の自己満足や楽しさも重要な要素です。

インデックス投資を選ぶことは、安全で合理的な選択ですが、個別株に挑戦する投資家もまたそのプロセスを楽しんでいるという点は見逃せません。


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