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2021/4/17YUJI NAKADA 10TH ANNIVERSARY SPECIAL LIVE"ALL THE TWILIGHT WANDERES"@渋谷公会堂※配信視聴

 中田裕二の10周年を記念して行われたYUJI NAKADA 10TH ANNIVERSARY SPECIAL LIVE"ALL THE TWILIGHT WANDERES"私は悔しくも会場には向かえなかった。しかしこの感染症禍の功罪とも言える、ライブ配信やアーカイブ視聴で遠い関西から視聴することが叶った。視聴までには椿屋の復活に立ち会えなかったことへの後悔でかなり躊躇った。でも結局、自分の中で折り合いをつけられたこと、そして映像化が確約化されていない状況で、自分の感情の折り合いの問題で意地を張ってみないほうが確実に後悔を残すんじゃないかと思って視聴しました。私も大人になったな。というわけで、せっかくなのでその感想をここに残す。



  中田裕二40歳を迎えたその日、渋谷公会堂で行われたライブ。発表時からこの10年のソロ活動を支えてきた面々、なんならバンド時代からサポートに入っていたキーボディストまで(そして現実には椿屋四重奏のメンバーまで集結したので、彼の音楽活動のほぼ全てを網羅していると言えるだろう)錚々たる面々がサポートメンバーとして名を連ねていた。私自身、これは見ておきたいとチケットは手に入れていたが昨今の感染状況と今自分の置かれている立場から参加は見送った。

 開演して現れた中田裕二は予想に反してステージにたった一人、アコースティックギターを構えていた。そして笑顔で客席に手を振り、彼のソロ活動の幕開けとなった「ひかりのまち」を歌い始めた。彼の第二の故郷である宮城県および東北地方を襲った大災害へのチャリティーソングでもあるこの曲。優しく、前を向こうと思わせてくれる楽曲だ。また、先日のベストアルバムでもトップに立ったこの曲。性質は違うが、この未曽有の事態でうつむきがちな心に光を差し込ませてくれた。この曲を聴いたときに、このアーカイブを意地を張らずに観て良かった・・・・・としょっぱなから思った。


【中田裕二×朝倉真司×YANCY】

 SONG COMPOSITEぶりの編成だというこの3人。朝倉さんは2019年のtrio saloonでも拝見していたが、YANCYさんの演奏を拝見するのは個人的には初めてでこうやってともにステージに立つのは8年ぶりだという。椿屋四重奏をリアルタイムで追っていなかった私にとっては、なんとなく椿屋四重奏のサポメンさんというイメージが強かった。                   

 この3人の演奏で特に印象に残ったのは「ベール」だ。1stの収録曲ということもあって、やはり初期のサポートメンバーさんだからか、CDの空気感が出ていて良かった。昨年末の年忘れ公演でも演奏されていて、その際はキーボードをsugar beansさんが弾いていて、ピアノの音色もあってかより一層中東の色味が出ていてアグレッシブさと色気が出ていたように思うが(しゅがびんさんの弾き方も面白かった)、今回の演奏はピアノの音で焦りと大人の余裕の併存した危うさが良かったように思う。後から原曲を聞き返して思ったが、ピアノの音色で演奏する自体がレアだったかも。「リバースのカード」も初めていいなと思った気がする。なんというか手練れのミュージシャンが職人的に演奏しているのが良かったのだろうか。


【中田裕二×朝倉真司×奥野真哉】

 出ました御大!!!中田さんの言う通り、おでましという感じがぴったり!!久しぶりの奥野さんにテンションが上がったのは私だけではないはず。私が中田裕二を追い始めたころは奥野さんがキーボディストであることが多く、この安定していて重厚感のある鍵盤さばきがとても心地よかった。
そして「ランナー」と「幻を突き止めて」をこの編成で聴けるとは・・・・・!両曲とも音源こそ、奥野さんのピアノだったがツアーはしゅがびんさんでたぶんライブで奥野さんがこの曲を演奏したのはたぶんおそらく初めてか久しぶりだったかのように思う。「幻を突き止めて」はもともと迷いや迷宮に入り込んでしまったような、悶々としたときに聞きたくなる楽曲を、ベテランのキーボディストとパーカッショニストとかき鳴らす姿には、悩みの迷宮を抜けて次の段階に進んだ彼のように見えてとても良かった。奥野さんのピアノって力強く理性的で、それがこの迷いのある曲に芯を与えているよう。あと大サビのところで朝倉さんが鳴らした鈴が神社でしか見たことのない代物でなんだこれは!!!となってしまった(なんだその感想は)。

 次の「薄紅」はもう素晴らしかった。そもそも日本の雪解けと共に訪れる春の少し肌寒いけれど、薄紅の桜の咲く美しさと儚さといった情景が自然と浮かぶ楽曲だ。その原曲をアレンジしたのが奥野さんだったが、今回は全くアレンジを変えて演奏された。原曲はもちろん前述の通り素晴らしいのだが、今回は少し浮遊感のあるような不思議さがどこか薫ってくるアレンジになっていて音数もより少なくなっていてより静謐な美しさの曲をなしていた。Covid-19の流行もあってこれまでのような賑やかな花見ができない今日この頃から見た(最も私は花見宴会など好まないタイプではあるが)、花見のある架空の世界のような様相だった。そもそもこの曲は宴会花見には合わない、ひっそりと静かな曲で、1人で桜を観に行くのにぴったりだとは思うのだが。



そして、大転換、先ほどまでの静謐な「薄紅」から一転・・・・・・


カトウタロウが来たぞ~~~~~!!!!!!!!


 待っていましたカトウタロウさん!!!中田裕二のサポートとしてはおなじみ、美しいコーラスと面白おかしいMCおしゃべりクソ野郎、物販宣伝野郎でもあるギタリストだ。あまりギターを弾いているところは見たことがない。ギターの類を50本も持ってるのに、中田裕二のバンドではあまりギターを弾かない。それでもいいのだ、あの美しいコーラスだけでもおつりがくるのになんと彼は面白い。


【中田裕二×千ヶ崎学×平泉光司×sugar beans×小松シゲル×カトウタロウ】

 先ほどの2編成から一転、バンドセット。「正体」の2番Bメロのグルーヴ感。中田裕二っぽい色気と駆け引き、あとなんとなく自己と他者の境界や人の表面と内面を歌う哲学っぽい曲だと思っている。MVがちょっと残念(いつまでも言います)。今思うと、全体的にラップっぽくって、昨今ラップというかブラックミュージックが流行っているが時代を先どってる感がすごすぎる。中田裕二って天才ではないか。続いて「en nui」。夕焼け時の情景が浮かぶ、過去へ縋る男の曲。玉虫色の結末ってどんななんだろう。平泉さんとカトウさんのコーラスが効いてめちゃくちゃ重厚感がある。『君という傘に隠れたい』という歌詞があるように、原曲だけなら、弱いだらしのない男の歌のイメージなのだが、中田さんの年齢を重ねてこその表現力とそれを支えるメンバーの厚みから、自立した大人の唯一の弱いところを歌ったような雰囲気がして良かった。「Deeper」のコーラスはウニさんとタロウさん、平泉さんの編成がすごく好きで、今回はウニさんがいらっしゃらなかったのが残念。

 そして常々私は中田裕二が歌の世界に没入している様が好きで、そういう曲のとき、だいたい歌の終わりにフロアに向かって「ありがとう」と言うまで中田裕二は前を観ていても観ていない感じがする。いま中田裕二の目の前にはきっと自分で書いた曲の世界が映っていているのだろうなと思うし、フロアから観る自分は彼が歌の世界の住人になっているように観える。


【中田裕二×隅倉弘至×八橋智幸×トオミヨウ×平泉光司×カトウタロウ×小松シゲル】

 「ロータス」中田裕二が悟りを開き始めた(と個人的に思う)この楽曲。トオミさんアレンジの不思議な癒されるサウンドは、春の終わりの今の時期にぴったりだな・・・・・としみじみ。そして「DOUBLE STANDARD」、中田裕二の歌詞にははっとさせられることが多い。「人はいつも 全てをコントロールしたがる ただの思い上がり」「いつになってもわからない 誰のための自分か それも思い上がり」この2つのフレーズには聞くたびに自分への戒めになっている。能動的に動くことは重要だが、人生はある意味で流されるがままという部分もあって(これは「ロータス」にも通じているものがあると思う)、その自分の意思とのギャップに苦しむことが多い。もちろん、苦しむのも人間だと思う。まだ私は苦しみっぱなし、自己嫌悪しっぱなしだが、これを戒めにいつか器の大きい人間になれたらいいなと思う。


【中田裕二×隅倉弘至×平泉光司×八橋義幸×張替智広×カトウタロウ】

 後半戦1曲目は「君が為に」、コロナ禍で生まれた楽曲。ゆったりとしたメッセージソング。今より更に先が見えず、世界は自分は、明日にはどうなっているんだろうと思っていた昨年の今頃。そんな時にYoutubeで公開されたこの曲。きっと誰もが苦しんでいて、どうしたらいいんだろうという焦りや喪失感を抱えていたときに、『できないことを数えて頭抱え込まずに あたりに咲いている 微笑みを集めて帰ろう』「どうか君の為に明日を拒まずにいてよ』と歌ってくれたことでどれだけの人間が救われたことか。そして「IT'S SO EASY」、私が中田裕二ソロ曲で1,2を争うほど好きなこの曲。先日の企画、ナカダベストテンでも迷わず投票した楽曲だ。その際のツイートでも書いたが、もうAメロの数行がたまらなく好きで、何度も救われてきた。タイトルといい歌詞といい、聴くだけで心を軽くしてくれる不思議なやさしさと、包容力、そして愛のある曲だなと思う。願わくばこの曲が長く歌い継がれていってほしい。「DIVERS」イントロが秀逸。テンポの遅い、哀愁漂う曲ももちろん好きなのだが、少しアップテンポのこういう曲を歌っている時の中田裕二の声とステージングがどうも好きだなと思った。


【中田裕二×奥野真哉×平泉光司×カトウタロウ×朝倉真司×真船勝博×白根賢一】

 この日のベストメンバーだったな・・・・。私が観に行きはじめたころの中田裕二バンドの体制に近くって、非常に懐かしかった。しかもどの曲もこの体制で見たことのあるものばかりで感慨深かった。

 特に「灰の夢」は2017年のツアーthicknessの初日に今は無き神戸SLOPEでたしか演奏されていたので、人生で初めてライブハウスに足を踏み入れた時の興奮がよみがえった。あの日のライブは良かったなあ。あの日、初めてのライブハウスが楽しすぎて手が痛くなるほど拍手をしたこと、デイジーが聴けたときに流れた涙、近くのセブンでお金を崩すために何か買ったなとか、部活帰りに行ってでかいリュックをクロークに預けたなとか、少し前のほうにお団子頭のお姉さんの盛り上がりっぷりがすごかったなとか思った以上に鮮明に覚えている。それに中田裕二のおかげでライブハウスに行くことになってたくさんいろいろな新しいもの音楽のみならずみせてもらえているなと思う。

 おそらく「UNDO」もこの年には聞いていたと思う。「UNDO」はテンポ感がすごく好きで定期的に聞きたくなるが、MVの華奢な姿から今の大人な雰囲気から繰り出されると味が出てより良いなと思わされる。


 「STONE FLOWER」はコンクリートジャングルでもがく人の歌のように思っているのだが、中田裕二の楽曲はやっぱり応援歌にはならないところがいい。言語化できていない感情に言葉をあてはめてくれるような感じ、というかがんばれっていうのではなく、それこそ「ひかりのまち」や「IT' SO EASY」にせよ、包み込むように、伝え方は違えどお前は頑張っているよと認めてくれるような曲ばかりのように思う。強い言葉で頑張れっていうのもいいけれど、私は中田裕二の応援歌でないような応援歌が好きだ。よく頑張ったね、明日はいい日になったらいいね(なるよ、じゃないのがまたいい)って感じの。今この瞬間よりちょっとよく生きてみようとか私頑張ったんだなと思わせてくれて、気持ちを落ち着けてくれるような曲たちばかりだ。


 そして、「誘惑」。中田裕二のアンセムだと思う。どんどんアレンジも代わっていって、それでも芯にあるこの曲のよさは少しも揺るがなくて、毎度毎度新鮮な気持ちで聴く。後「この曲を演奏するときの自信にあふれる表情が観ていてとてもいい顔しているなと思う。今までにもいろいろなアレンジで披露されてきたこの楽曲もこの日のために新たなアレンジで披露された。大人の恋愛の危うい駆け引きの見える楽曲だが、この日のこの曲はなんというかその駆け引きを楽しんでいる感じと謎の神聖さががあった。



「ぼかぁ幸せだなぁ」、「誘惑」の前のMCで発した一言。そしてこのにっこにこの中田裕二よ・・・・・・。感染症なんて存在していなくて、めでたさと多幸感しかこの世には存在していないんじゃないのかというような笑顔。彼に歌があって、こんな素晴らしいミュージシャンが彼の周りにいてくれて本当によかったなと思う。

【椿屋四重奏ーー中田裕二×永田貴樹×小寺良太】

そして今回の一番のサプライズ。一夜限りの復活。10年前に解散した彼ら。
会場にいた皆様におかれましては良くご無事で・・・・と。

アンコールの静寂を切り裂いて始まった「群青」のイントロで震えた。何をやったか知った上で視聴したのに。動悸が止まらなかった。私が初めて椿屋四重奏に出会った曲である「群青」を和装の彼らが令和の世で演奏しているなんて、もう情報量が多すぎて追い付かない。

イントロだけでフロアはもちろん自分も沸いているのに、照明がついてステージに載っている人間を認識した瞬間もう駄目だった。いるってわかっていたのに駄目だった。椿屋四重奏が一夜限りの復活をしたというあの日と次の日は悔しさと後悔で涙が止まらなかったが、今度は嬉しさの涙が出た。それでもこの「群青」の中田裕二はわりとSSW中田裕二というか、椿屋四重奏OBという感じで興奮に包まれるフロアを見て、してやったりというような笑みを見せていた。先述の通り、リアルタイムでは追ったことがないので彼らの空気感を本当のところではわかっていないのかもしれない。でも私が映像なんかで後追いした彼らの空気感そのままで、冒頭のMCでの発言の通り本当に同窓会のようだった。演者紹介の後の3人で噴き出す感じが本当に懐かしさを分かち合っているのがありありと伝わって涙が溢れた。そして、この10年それぞれがきちんと生きてきたんだろうなとありありとわかった。彼らが彼らなりの10年を歩んできて充実していることがわかってとてもうれしかった。バンドが解散してしまっても、もしここで再結成していなくても、そういう形であることがリスナーとしては一番の幸福なんじゃないだろうか。
ただファンへのプレゼントのようなものであるのに、演奏はさすがのものだ。中田さんと小寺さんは今もミュージシャンとして現役だが、椿屋四重奏解散とともにベースを置いた貴樹さんまで相変わらずのベースさばきで、さすが椿屋四重奏だなと感服。


そしてMCからそのまま、再解散を告げながら歌い始めた「成れの果て」。このときだけ、中田裕二は椿屋四重奏の代表に戻ったなと思った。加えて嬉しそう。『まだ消え残り』まではMCを引きずって笑っているのに、息継ぎのタイミングで下唇を舐めたかと思うと表情が一転、『お前の後ろ髪をーーー』からは椿屋四重奏の中田裕二でしかなくなるのがたまらなかった。お願いですから、あのカット含めて円盤化してください・・・・・・・。

選曲も本当に3人だけでやっていたころにリリースした曲でそれもなんか良かった。代表曲と考えるとフォーピースだったころや、解散間際の曲でもおかしくないし、ソロになってからよく演奏していた曲たちでもおかしくないのに、インディーズ時代の本当に作務衣を着ていたような時代の曲をここで演奏してくれたのは、幸せの極みだったな。

あんだけ後悔しておいてなんだが(今も後悔している部分はあるが)、これはあくまでも彼らの同窓会で10年ついてきてくれたファンへの純粋なファンサービスだったんだろうなと思う。椿屋の復活に注目されがちだが、もちろん見てほしいから復活したのではあろうが、たぶん絶対このまま再始動なんてことにはならないだろう。個人的にはそういう中田裕二の美学が、それに同調する彼らが好きだ。この10周年のお祭りに、10年前の年の初めに椿のように散った彼らが返り咲いたのだ。たぶん話題作りでもネットニュースなんかのネタの為でも、『昔』椿屋四重奏が好きだった人たちの為でもなくって、きっと解散ツアーをしなかった理由を語ったときと同様に、現在進行形で応援してるファンを喜ばせたかったのだろうと思う。

そしてダブルアンコールのオールスターズ。
【奥野真哉×白根賢一×平泉光司×八橋義幸×朝倉真司×隅倉弘至×真船勝博×カトウタロウ×sugarbeans×小寺良太×永田貴樹】

ステージに舞い戻ってきた中田裕二、マイクを手に取りきっとフェイクを入れるんだろうみたいなタイミングで急に音が止まり、歌われたハッピーバースデイ。そしてサポートメンバーに今日の感慨とお礼を述べ、ファンに対して「ずっとついてきてくれて感謝します。本当にありがとう。」と話して、ここにくるのはこの曲しか考えられなかった「MIDNIGHT FLYER」。お決まりのコール&レスポンスは芸達者でおなじみカトウタロウ氏との掛け合いに。ライブの鉄板曲だけあって、手拍子や手振りでフロアも参加する曲なので、この状況下でコール&レスポンスはできずとも、声を出さない方法でも盛り上げられるこの曲はやっぱりいいですね。そして出演者の多くで演奏するさまは圧巻だった。

それに、ステージに戻ってくるのは中田さんだけだろうと思っていたら、小寺さんと貴樹さんも戻ってきて演奏に参加した。オーケストラのようこの輪の中にたかしげさんがいるのが奇跡でしかなくって、錚々たるベーシストと並んでるのを見て顔がほころぶしかなかった。解散したとはいえ中田裕二の音楽人生の大きな要素の1つであることは間違いないバンド時代。ソロ10周年のステージに、そのソロ活動で出会った・支え続けた人たちとバンド時代の苦楽を共にした人たちが共に彼を祝うために集まって、彼の曲を演奏しているというのは奇跡のように思えた。

最後に演者のほうを振り返ってお礼をいうときの表情がキラキラしていて、それだけでこの10年で得たたくさんのものが見えるようだ。パンフレットの関口さんのインタビューを読んでいない人はぜひ読んでほしいが、これを読んでこの錚々たるミュージシャンたちに囲まれて演奏する姿はきっとかけがえのないもので、ソロ活動を始めた10年前には想像もつかなかったのかもしれないと推測する。大団円という言葉がこんなにふさわしい瞬間ってこの日の日本中どこを探してもこの空間にしかなかったんじゃないだろうか。今までに観た「MIDNIGHT FLYER」でどこをどうとっても一番大好きな演奏だったなと思う。


MCを聴いて、そしてパンフレットも読んで、この10年苦しんで苦しんでもがいてたくさんの曲を世に送り出し続けたのだと心から思った。「人生目に見える結果がすべてじゃないです」と言ったが、たぶんそこに至るまでたくさんの葛藤があったんだと思う。ちょうどバンドもセールス的に上向いてきた時期の解散で、そこからのソロ、より大変なこともあったんだと思う。そして、彼は音楽に触れ続けて作り続けたという点で本当に驚異的だなと思う。最後は「TWILIGHT WANDERERS」を弾き語り。この10年の彼の生き方を振り返って書かれたこの曲。たそがれ時似合う穏やかな曲だ。

メモリアルなライブだからこそ、ついてきてくれてありがとうとかこれからもよろしくという言葉があった。意外と今日は来てくれてありがとうとかいうことは多いけれど、そういうついていてくれてとかそういうことを言わないイメージがあるので新鮮な気持ちもあったが、そんなの常日頃背中で出してくる作品で語っているんだよな~~とも思った。「これからもやりたいようにやります。よろしく~」と笑顔で話し、ステージを後にした中田裕二。やりたいようにやってくれ、健康で幸せでいてくれればヲタクとしては何も言うことないです。できたら歌い続けてくれたらうれしいです。たぶん歌い続けてくれると思うけれど。お願いだから健康で。

この感想を書きながら2回目、3回目を見ていた。そしてその前に届いた今回のライブパンフレットを読んだ。読んでから観ると感慨深さが増しに増した。マネージャーの関口氏のインタビューが愛に溢れすぎていて、この4月17日の日をあのような形で迎えられたことを心から良かったと思った。以前、横浜大桟橋ホールで行われたTOUR18”NobodyKnows”追加公演”YOKOHAMA CITY RHAPSODY”の「オールウェイズ」前のMCでも「それぞれがそれぞれの立ち位置を全うしてくれたからツアーが作り上げられている」というような趣旨の発言があったけれど、関口さんという伴走者がいてくれて、そしてほかのスタッフさん、サポートミュージシャン・・・などなど誰一人かけても今に至っていないだろうし、そう思うとそのピースをかけることなく全うしてくれた方々に感謝するに尽きる。そして関口さんのすごさに脱帽するしかない。マネージャー関口さんに心からの敬意を。


中田裕二さん、ソロ10周年と40歳、そして音楽生活約20周年おめでとうございました。そして素晴らしい作品たちを世に送り出し続けてくれて本当に本当にありがとうございます。中田裕二のソロ11年目、そしてこれから先も続いていくであろう音楽活動が楽しみでしかない。

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