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なぜ木魚に魚が彫られているの?
この前、小さいお子さんから「なぜポクポクにお魚さんがいるの?」と聞かれました。
そこで、私は「小僧と木魚」という噺(はなし)をしてあげました。
小僧と木魚
海の崖に建つ寺に、一生懸命修行に励む小僧がいました。
その小僧は一日も早く立派なお坊さんになりたくて、毎日お経を必死に練習していました。
お経を毎日一生懸命練習している小僧を見て、和尚は誉めあげました。
「お前さんは、毎日よく読経の練習をして偉いのー。きっと立派なお坊さんになれるぞ。その調子でがんばれ!」
小僧は和尚に褒めてもらってとても嬉しくなり、更に練習をするようになりました。
ある日、小僧が海崖でお経を練習していた時、風が吹いて経本が崖の先に生えている松の木まで飛んでいってしまいました。
小僧は経本を取ろうと松の木に登ってお経を取ろうと手を伸ばした時、足を滑らせてしまい、崖下の海に落ちてしまいました。崖下の海には、小僧のわらじだけが浮きあがってきました。
和尚は大変悲しみ、小僧のわらじを寺の庭に埋めて、お墓を建てました。
そこに木を一本植えて、毎日、お経を読んで小僧の供養をしました。
すると、その木はどんどん大きくなって、やがて寺の屋根の高さを越えるほど成長しました。
しかし、ある日、大嵐が来て、その木は倒れてしまいました。
和尚は倒れた木を使って、何かを彫りはじめました。
和尚は、小僧は海に落ちて死んでしまったが、きっと魚に生まれ変わったと信じて魚の彫り物を作りました。
和尚は「これからもお経を教えてやるからな」と言って、その彫り物をぽんぽんと優しく叩きながら経を読むようになりました。
魚の彫り物は、いつしか木魚と呼ばれるようになりました。
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