見出し画像

和尚になってしまった泥棒


天竺にある大きな寺に、純金でできた仏足石がありました。

泥棒はその純金を盗むために、僧侶にふんして寺に忍び込みました。

泥棒は、純金を盗み出すには、まずは誰もから信用されることが近道と考えました。そこで泥棒は誰もが彼を泥棒と疑わないぐらいに一生懸命修行に取り組み、本物の僧侶になりきろうとしました。

何年か経ち、泥棒の僧侶としての位もだいぶ高くなりました。
しかし泥棒は、まだ信用が足りないと思って、純金を盗むのを先に伸ばしにしました。そしてその後も一生懸命な修行に励み、数年後には誰もが彼を立派な僧侶として崇め、信頼されるようになりました。

それでも泥棒は警戒して、盗みをもう少し遅らせて更に修行を続けました。

そうしていくうちに泥棒は、いつの間にかその寺の住職になってしまいました。住職になれば、その寺のものは住職のものなので、もはや盗む必要がなくなってしまいました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?