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地獄に堕ちたお婆さん


お婆さんが死にました。

生前に人からお金をだまし取ったことがあるおばあさんは、閻魔様の裁きで、地獄行きが決定しました。

お婆さんは、人から騙し取った金を閻魔様に渡して、なんとか極楽に行かせてもらうように頼みました。

しかし閻魔様は言いました。
「極楽には、生前よい事をした者でなければ行けぬ」

お婆さんは、閻魔様に伝えました。
「閻魔様、私は一度だけいい事をしたことがあります。自分が育てた人参をお寺にお布施したことがあります。なんとか極楽に行かせてください」

閻魔様はしばらく考えて言いました。
「施す心があったのであれば、極楽に行かせてやろう。極楽に行く際には、血の池に浮かぶ人参を掴むがよい」

お婆さんは大喜びし、血の池に浮かぶ人参を掴みました。この様子を見た他の亡者たちは、次々にお婆さんの足につかまり、一緒に極楽に行こうとしました。 

焦ったお婆さんは足につかまる他の亡者たちを足でけり落としました。

その時、人参はボロッと崩れ、お婆さんは再び地獄に落ちました。

自分だけが極楽に行くことだけ考えていたお婆さんは、結局、極楽へは行けずに地獄に逆戻りとなってしまいました。

閻魔様はその一部始終を見ていて、ため息をついて、こう言いました。
「やっぱり悪人は悪人だったな...」


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