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親不幸 or 親孝行?

病気の母親と暮らす博打好きな息子がいました。
息子は毎日博打に明け暮れ、ついに一文無しなってしまいました。

母親は病気ながら息子がとても心配です。
息子も博打がやめられず、そのせいで病気の母に薬を買えず、医者に見せることもできませんでした。

ある時、隣のおじいさんが息子に「またたびの水を飲ませれば病気が治るかもしれない」と教えてくれました。

息子は急いで山へ向かいましたが、なかなかまたたびの水を見つることができませんでした。日が暮れる頃、やっとまたたびを見つけて、そのツルを切ってみましたが、水は出ませんでした。

焦った若者が「仏様!母さんの命を助けてください」と叫びましたが、水は一滴も出ませんでした。

日が暮れるので息子は一生懸命水を探しました。

息子が家に戻った時は、母親は既に死んでいました。

息子の持ち帰った竹水筒には、またたびの水が一杯に入っていました。
「間に合わなかった…。親孝行何一つできずに、母は逝ってしまった」

息子は今までの自分の行動を後悔しましたが、孝行したいときには母はもういません。

葬式が終わって泣き止まない息子に、和尚は言いました。
「間に合ったものが一つだけある。それは母親を思う心じゃ。きっと最期に母親にはお前の気持ちは十分に伝わったはず。だからあんなに穏やかな死顔をしとったんじゃろう。きっと母親もお前が心を入れ替えてくれたと確信して、自分のお役目が済んだと思ったのかもしれん。さあ、母親が成仏するもしないも、あとはこれからのお前さんの生き方次第じゃ」

息子は和尚の言葉に救われました。
息子は、それから博打も酒もやめ、家族のために汗水流して働くようになりました。

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