電気自動車(EV)はエコなのか

電気自動車は果たしてエコなのか?疑問があったので計算してみました。

全てカタログ値や公的機関の数字です。実測値ではありません。

EV自動車のモデルは、日産リーフ 60kWh バッテリーです。

石炭火力(従来型)
発電コスト 13.6~22.4円/1kWh
Co2排出量 0.867 kg-Co2/kWh

満充電からの航続距離は、450kmで、0.867×60=約52kgのCo2を排出します。つまり、約0.12kg/kmです。

純ガソリン車のモデルは、同じような車格で、トヨタ ヤリス(直列3気筒 1.5L直噴エンジン)を選択しました。

タンク容量は40Lで、1Lで約21km走れます。Co2排出量は、約110~120g/kmと書かれていますので、0.10~0.12kg/kmです。

ここまで、1kmあたりのEVとガソリン車はCo2排出量がほぼ同じです。
ここで次の試行です。送電ロスや輸送Co2排出量を考えてみましょう。

電気の送配電ロス率を探します。4.5%程度のようです。これが上乗せされますが、元の数値が小さいためほとんど誤差です。EVの 0.12kg/km はほとんど変わりません。

タンクローリーでガソリンを配送するコストも考えてみます。タンク容量は8,000~20,000Lです。仮に10,000Lとして、100km配送すると計算してみましょう。ガソリンスタンドのタンクも、同じくらい以上の容量です。

大型タンクローリーの燃費は 約3km/L です。
Co2排出量は、約3kg Co2/L(燃料消費)のようです。
100km先に配送する場合、使用する燃料は33Lで、排出するCo2は99kgです。ヤリスのタンクは40Lですので、10,000Lのうち0.4%の給油になります。
つまり排出された99kgの0.4%、0.3kgのCo2が上乗せされます。
40Lのタンクで0.12kg/kmのCo2を排出しながら、840km走れますので、合計すると約100.8kgのCo2が排出されます。そこに0.3kgが上乗せされますので、合計で101.1kgとなります。これを元に戻すとやはり0.10~0.12kg/km程度になり、ほとんど変わりません。

送電ロスや輸送Co2排出量に関しては、誤差の範囲内としかいいようがありません。

次に製造コストのCo2排出量を比べてみます。
EVの製造時Co2排出量は 12,000kg 程度で、ガソリン車は 6,000kg 程度のようです。差は6,000kgほどEVの方が不利です。逆転できるでしょうか。
現状の計算だと
EV → 0.12kg/km
ガソリン車 → 0.10~0.12kg/km

ですのでEVは逆転ができません。

つまり、現状のエネルギー政策では、EVもガソリン車も、同じだけCo2を排出するしかないです。もちろん、太陽光や風力といった自然エネルギー由来の電源割合が増えれば、EVの方がエコといえそうです。しかし、これには課題があります。

自然エネルギーで、例えば太陽光エネルギーで充電しようと思うと、太陽の出ている時間に充電しなければなりません。日没後は、ほぼ火力発電の電気を使っています。
これを解決するのは巨大な蓄電池ですが、蓄電池はまだまだ技術革新の余地があり、現実的ではありません。

家庭用のEV充電用コンセントは、200Vの場合、3.0kWのようです。
上記の60kWhを充電するには20時間ほどかかります。
一般的な家庭用ソーラーパネルは4~5kW程度が多く、曇りの日も考えればほぼEV充電に電力が使われるでしょう。日照時間は、夏至では約14.5時間、冬至は9.5時間です。
夏でも冬でも、自分が発電したソーラー分でも、他人が発電したソーラー分でも、家庭用のEV充電用コンセントではゼロから満充電まで2日かかります。
また、田舎でよくある自家用車2台の場合、ソーラーパネルは2枚必要になりますが、屋根にのせられる大きさの限界があり、2倍のソーラーパネルはのせられません。

またEVの場合、冬の運行距離が約半分程度になることも知られています。冷房に比べて、暖房は電気を大量に消費します。そうすると距離あたりのCo2排出量はおおよそ倍になるわけで、冬に関してはガソリン車の方がエコといえるでしょう。

ここまで計算して考えてみたところ、EVによるCo2のメリットは何でしょう?という感想になりました。


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