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シリーズ:なぜ小学校の体育の指導は難しいのか?

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2019年10月の記事一覧

運動をする子・しない子の二極化【なぜ小学校の体育の指導は難しいのか?#3】

3つ目の課題は、「運動をする子・しない子の二極化」です。 近年、運動する子としない子の二極化の傾向が指摘されています。 ■調査データ小学校5年生と中学校2年生に対して、体育の授業以外での1週間の運動時間を調査した結果がこちら。 【出典】 平成30年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果 スポーツ庁 小学校でも、中学校でも、「運動をする人」=「運動時間週420分以上(1日1時間以上運動する)」と「あまり運動をしない人」=「運動時間が週60分未満(1週間で1時間も運動し

体育には「教科書」が無い。【なぜ小学校の体育の指導は難しいのか?#2】

前回は「小学校は学級担任制」であり、担任の先生が体育を教える大変さをお伝えしました。 今回は「体育には教科書がない」ことに関してお伝えします。 ■体育には「教科書」がない。 小学校の教科の中で「体育」の運動領域だけ、検定教科書がありません(※保健領域には、検定教科書がある)。 小学校用教科書目録(平成32年度使用)/文部科学省 そもそも学校教育において「教科書」とはどういう存在なのか?  文部科学省による説明はこちら↓↓ Q1 教科書は,学校教育の中でどのような

担任の先生が、全て教えなければならない。【なぜ小学校の体育の指導は難しいのか?#1】

いままで我々が行った学校現場でのヒアリングやアンケートの中で、「他の教科は自信を持って授業ができるのに、体育の授業には自信が無い」といった声を多く聞きました。 なぜ小学校の体育の指導は難しいのか。 その理由をこれから何度かに分けて分析していきたいと思います。  小学校は「担任の先生」が体育を指導する。 日本ではほとんどの公立小学校は「学級担任制」であり、1人の学級担任教師が、その学級の学習指導(教科指導)や生徒指導の全部か大部分を担任しています。 よって体育も担任の先

学校という船を、「体育」から動かしていく。

ENGINEは「学校という船で、未来への航海に出よう」というビジョンを掲げています。 学校という場所は昔から変わらずに「ずっと動かないもの(=ずっと変わらないもの)」ではなく、子どもと先生のわくわくしたエンジンが稼働すると、船のように動き出し、「次の港(=未来)」へと進んでいく。 では、学校が未来へと進んでいくためには、どうすれば良いのか? なぜENGINEはいまこのような取り組みを始めたのか?  ■背景ENGINEの取り組みの背景には、主に以下2つの課題があります。