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館林美術館のこと 演劇/微熱少年 vol.2 『料理昇降機/the dumb waiter』について その1

ワタクシが太田市に居を構え引っ越してきたのは2009年春。パートナーの出身地という以外に取り立てて縁故も土地勘も無い場所。新しい土地との出会いはワクワクするもので、時間の隙間隙間に周辺を散策していたとき、白鳥の飛来で有名な湖沼近くに素敵な建物を見つけた。それが館林美術館だった。

山間地出身のワタクシは、なかなかファインアートに触れる機会を持てなかったが、大学進学を目指して都内予備校に通い始めた際、その予備校の講師から受験勉強の知識を活かすためにアートに触れることを勧められ、新宿や上野の美術館に足を運ぶようになった。ジャスパー・ジョーンズ、リヒテンシュタイン、アンディ・ウォーホル、ベン・シャーン、ダリ、ケーテ・コルヴィッツ、シャガール、そしてピカソ…どうやら現代アートと波長があったようで、好んで出掛けるのはそうした作家の展覧会が多かった。それはまだバブル末期からその少し後の時期。

生活圏の中に美術館があるということがわかると、興味ある展覧会を見つけては足を運ぶようになった。震災後ロードバイクに乗り始めてからは頻度はさらに増え、高崎の近代美術館や新たに開設されたアーツ前橋にも出掛けるようになっていた。

演劇活動を再開してからは、広い意味でのアートとの距離感に微妙に変化が起きて、展示されている作品だけでなく、「この空間に演劇というアートを置くなら」という発想がベースになっていた。

そして、その思考シミュレーションは「館林美術館で演劇をするならどうやるか?」の具体的な発想になっていた。(続く)

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