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ゲーム紹介:イッツアワンダフルキングダム

こんにちは。Engamesの代表をしております杉木です。年末ぎりぎり間に合いました!新作のご紹介をいたします。

2021年12月23日にEngamesは2人用カードゲーム『イッツアワンダフルキングダム』を発売します。本作品は、カードドラフト+拡大再生産ゲームの新定番として非常に好評をいただいております『イッツアワンダフルワールド』の2人専用スピンオフ(ソロプレイも可能)です。
この作品は2021年のエッセンシュピールにて先行販売され、今月からキックスターターにてバックされた方のお手元にも届き始めます。

舞台は少し時代をさかのぼった数百年前程度でしょうか。2つの公国が次の王の座を狙い、しのぎを削っています。プレイする二人は、正当な王位の継承者たることを示すべく争っている公国の公爵同士です。

このゲームでは、まず基本となるゲームのルールがあり、そこに3つのゲームモードのうちのいずれかを”必ず”付け加えてゲームを行います。これらのモードごとにゲームが異なった展開を見せるため、それぞれに新たな戦略を求められます。

このゲームの出版社は、La Boîte de Jeu。『アウトリブ』、『ケルベロスの試練』などが日本では知られています。作者はFrédéric Guérard。日本では馴染みがありませんが、『ilos』などの作者でフランスの新進気鋭ゲームデザイナーの一人です。そして、その出版社、作者ともの最大のヒット作が元となった『イッツアワンダフルワールド』であり、その待望のスピンオフがこの『イッツアワンダフルキングダム』なのです。


発展カードをドラフトし、構築せよ

このゲームは『イッツアワンダフルワールド』と同様に、カードドラフトをベースとした盤面構築型のゲームです。
基本的なゲームの流れは、4ラウンドに渡って、盤面に出すカードを選択する『カードのドラフト』、ドラフトしたカードを構築するかブーストのために捨てるかを選択する『計画』、構築完了した発展カードからの資源によって構築を進めていく『製造』の3つのフェイズを行うというものです。
この流れは元となった『イッツアワンダフルワールド』とまったく変わりません。

しかし、『イッツアワンダフルワールド』と違うのが、”分配と罠”システムと呼んでいる、ドラフト方法です。では、もう少し詳細にこのドラフト方法を説明しましょう。

そもそもドラフトとは

よくある、カードプールを作って、それを隣の人に回していくドラフトシステム(いわゆるブースタードラフト)は『イッツアワンダフルワールド』でも採用されており、ドラフトと言えば、かなりの割合のゲームがこのシステムを採用しているかと思います。しかし、このシステムは2人でプレイする際には、うまく機能するのかが極めて疑問なところがあります。
では、このシステムについて、少し考察してみます。
ブースタードラフトでは隣のプレイヤーとの協調戦略(棲み分け)が非常に大事になってきます。隣のプレイヤーの指針と違う指針を持ち、お互いに欲しいカードをそれぞれに流し合うことで、ともに強力なカードを入手していくwin-winの関係を築く。そして、キーポイントとなるところでは隣の必要そうなカードや、自分の戦略的に相手に持たれていては困るカードに対してカットを入れ、隣と自分との差を作るという「基本的には協調、ただし必要なときにはカット」の動きが基本となります。
しかし、2人プレイでは隣はそもそも一人しかいない対戦相手のプレイヤーなので、協調もへったくれもありません。そのため、2人専用ゲームとするからには、このブースタードラフトの形はうまく機能しないことになり、なんらかの代替手段が必要となります。私も最初に、2人専用ゲームをスピンオフとして出すと聞いた際、どのようにドラフトシステムを変えるのかを確認することから商談をはじめました。
そして、デザイナーおよび開発チームが導き出した答えが”分配と罠”システムです。


“分配と罠”システムとは

先日公開しましたYoutubeでの新作紹介(https://www.youtube.com/watch?v=d9wAPSR2hsw)の17分00秒頃からでもご紹介させていただきました”分配と罠”システムは、大きく2つのパートに分かれています。
まず、「分配」についてですが、このゲームではカードをA、B2つのプールに分ける提案をする側、そのどちらかを選択して提案を受ける側を交互に繰り返していくというシステムになっています。
もう少し具体的に説明します。まずAのプール、Bのプールに1枚ずつカードが表向きで山札より置かれます。
そして、お互いにカードを8枚ずつ受け取り、これらのカードを交互に提案し、受け取りを繰り返していきます。

まず先手のプレイヤーは提案をする側として、8枚の手札からカードを2枚選択しそれらの2枚それぞれに対して、Aのプールに置くか、Bのプールに置くかを選択します。
両方ともAでも、AとBでも、両方ともBでも構いません。表向きで置きます。仮にAのプールに両方とも置いたとしましょう。すると、Aのプールは3枚、Bのプールは1枚となります。
次に後手のプレイヤーは提案を受ける側として、Aのプールか、Bのプールを選び、選んだプールのカードをドラフトしたカードとしてすべて受け取ります。仮にAを選んだならば、Aの3枚すべてを受け取ります。

次に後手のプレイヤーが提案をする側として2枚をいずれかのプールに置き、先手のプレイヤーがいずれかのプールのカードを選び、、、ということを手札がなくなるまで繰り返します。これが『分配』システムです。

手札には7枚のランダムなカードと、1枚の構築もリサイクルもできない、ただマイナス4勝利点にしかならない災いカードを持つこととなっています。
そのため、たとえ3枚対1枚のプールを提案されたとしても、3枚の方に災いカードが含まれていたならば、3枚を受け取ることが果たして本当に得なのか、悩ましい選択肢を迫られることになります。

プレイヤーはそれぞれ、8枚の手札のうち、2枚を罠トークンを使うことで裏向きに提案することができるのです。
提案を受ける側は、裏向きに提案されたカードが、災いカードであるのか、普通のカードであるのか、推理をしなければいけません。
加えて『罠』システムがさらに悩ましさを増大させます。

3つのモード選択

冒頭にお伝えしたとおり、このゲームでは必ず3つあるモードのうちいずれかを選択してプレイすることになります。
ボーナスのもらえるマイルストーンを設定するモード(マイルストーンの達成順は任意だが、いちばん大きなマイルストーンをゲーム終了までに達成しないと敗北)や、災いカードを異なるものにするモード、自分のために働いてくれるお助けカードを呼び寄せられるモードと、そのモードごとに異なるプレイ感がもたらされます。
ぜひ、様々なモードで遊んでいただければと思います。

最後に

一方で『イッツアワンダフルワールド』が合わなかったなという方や、心理戦の要素を含むゲームが苦手だという方には、このゲームは合わないかと思います。しかし、ドラフトゲームの傑作『世界の七不思議』から10年、現代のドラフトゲームの代表作としてなった『イッツアワンダフルワールド』のスピンオフである、この『イッツアワンダフルキングダム』は、一度は遊んでいただきたいゲームです。


ゲーム名:イッツアワンダフルキングダム
プレイ人数:1〜2人
対象年齢:14歳~
プレイ時間:45分

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