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「場」→「研究」へ。自然経営研究会の次のステップ

自然経営研究会というものが立ち上がるときに持っていたpurposeは、既に達成された。それは、「新しい組織」の姿について探求したい人たちが集まり、つながりを育み、知恵や意見を交換し合うこと、すなわち「場」があることそのものだった。
そして次に担うpurposeは、「自然経営」という言葉そのものを「研究」し、伝え、実践につなげることなのではないか、と感じはじめました。

Sourceは「1人」ではない?

Source Principleにおいては、sourceは必ず「1人」であるとされています。無数にあるideaの中から、その具体化に向けた「最初の1歩」を踏み出した人は、必ず「ある特定の1人」である、と。

参考)提唱者のPeter Koenigの動画

自然経営研究会は、「特定の1人のsourceが居る」という考え方を採用していません。これは提唱者のPeter Koenigの考えには合致していませんが、この「1人ではない」ということに、自然経営、ひいては「日本における新しい組織の姿」の個性があるのでは、と思ってきました。
(ちなみに、source principleの中ではpurposeという言葉はほとんど使われないので、その意味でもやや援用して解釈しています。詳しくは来年?くらいにWork With Sourceの翻訳が出せるはず…)

また、Source Principleにおいて、arc of creative initiativeという表現があります。
Initiativeとは、あるアイディアが具現化に向けて花開くまでの道筋のことを指します。あるアイディアがsourceによって「最初の一歩」を踏み出し、specific sourceやhelperを巻き込みながら「具現化」へと進む。
そして、sourceが「ideaが充分に具現化された」と感じたところで、initiativeのarcは頂点を迎えます

 「自然経営研究会」の一連の営み

2017年12月。自然経営研究会の立ち上げ。「ティール組織」という書籍が発売される直前でしたが、その頃から「新しい組織の姿」に興味がある人はたくさん居ました。
それはリカルドセムラーがセムコでの実践をもとに書いた「奇跡の経営」への共感であったり、天外伺朗さんを中心にホワイト企業大賞という活動を8年前から立ち上げたことにも通じるのかもしれません。
一緒に立ち上げた武井さんは、当時、代表を務めていたダイヤモンドメディアという会社において、新しい組織運営のスタイルを何年も掛けて模索していて、武井さんの周りには共感する人も多かった。

一方で、「新しい組織の姿」への熱量はあるものの、似たような世界観、問題意識、組織への捉え方を持っている人たちが、継続して関わり、話せるような機会は、必ずしも多くありませんでした。
特に、onlineでのイベントが日常になった今となっては思い出すのも難しいですが、「継続して集まれる場がある」ということは特に希少でした。

2021年8月。そこから3年半。これまで48回のイベントを開催、延べ参加人数は2,000人を超えました。facebookグループの参加者も2,100人を越えています。

また、自然経営研究会に限らず、「ティール組織」という言葉の浸透(残念ながら必ずしも正確ではない情報も含めて…)とともに、様々な団体・活動・イベントが立ち上がり、「新しい組織の姿」の探求や実践に興味がある人が相互につながり、学び合える機会は非常に多くなりました。

この一連の経緯を振り返ったときに、「自然経営研究会」という団体が立ち上げるときに担っていたpurposeは、2021年8月の時点でarcの頂点に達したのでは、と感じました。
奇しくも、設立以来、毎月行ってきたイベント(monthly conference)が、団体の設立以来、初めて開催されなかった月となった。その事実が、一つの象徴的な意味合いを持つようにも感じます。
(先ほど書いた通り、自然経営研究会では「sourceは1人ではない」と思っているので、あくまで世話人の一人である私から見える景色として、ですが)

 「自然経営」という言葉にまつわる、次の活動

arcの頂点に達したinitiativeはどうなるのか?大きく3つに分けられます。
1つ目は、sourceを「次の世代」へと継承すること。
2つ目は、initiative自体を「閉じる」こと。
この2つは、Work With Sourceという本にも書かれていることです。

これに加えて、3つ目として「新たなpurposeを持つ」ことがあり得る、と個人的には感じます。その組織が培ってきた様々な資産を、次なる方向性の活動へと繋げ、活かしていくこと。
(ただ、本当は閉じたほうがよいinitiativeなのに、「延命」のために「無理やりひねり出す」ケースもありますが…)

自然経営研究会という「場」を拓き、その場や関係性の中で重ねてきた多様な議論には、様々な発見がありました。
それらの議論は、「新しい組織について、日本語で表現できるものがほしい」「むしろそれを英語で発信したい」という想いから、半ばノリで命名した「自然経営」という言葉を中心に、重ねられてきました。
一方で、この「自然経営」という言葉や概念を体系化し、人に伝わりやすい形を模索し、より広く実践される状態を作る、という方向にはエネルギーが向かってきませんでした。

この一連の流れを見つつ、また、私自身がもともと持っている「日本における新しい組織の姿」の可能性の一つとして、自然経営という言葉にまつわる研究を深める活動を作りたい、と改めて感じています。

そこには、「考察」や「議論」を通じて洗練させることも当然含まれるし、さらには「実践」を通じて磨き込む、という営みもとても重要になります。具体的な形はこれから、という段階ですが、より意義深く、持続するような活動になるよう、また場としての熱量が高まるような進め方を作っていければと思います。

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