「共通意識」(common sense)

 いくら気候危機や再エネ転換の必要性を訴えても専門的な話は難しく、そもそも議論の「土台」(common ground)が無いとか、原因は資本主義や新自由主義などいくつか挙げられるが、どの社会も差別や格差によって人々の分断が進んだせいで本当に助けたい相手に切実な思いが届かないなどと嘆くくらいなら、まずは一人の人間として、いったいどうすれば困っている相手が自身に対して心を開くのかを考えてみよう。

 本などの断片的な知識に頼るのではなく、自身の行動で経験からしか得ることが出来ない、生涯において大切な知恵。一言で、相手と「同じ釜の飯を食う」ことが出発点だろう。国内では被災地でのボランティア活動が好例で、助け合いにおいて「共通意識」(common sense)はまだ鮮明にあるし、それは、むしろ本能的なものであって、助けたいと思っている本人が気づくかどうかの課題の方が大きいのかもしれない。

 また、以前にも書いたが、新型コロナと気候危機にも共通点があり、感染状況の波は続くが今回のパンデミックの終わりが少しずつ見えてきたのは、世界中で「危機を危機として扱う」対策や行動を取り続けてきたから。互いを守るために日常での「行動変容」を体現した成果。無我夢中でもそうでなくても、あらゆる壁や隔たりを超えたところで社会は前に先に進む。忘れないでほしい。

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