風力発電について 少し知っておきたいこと 続き

 風力発電を取り巻く噂やデマは「低周波・超低周波」音によって健康被害が生じるというものを中心に広がっている。

 例えば、豪ウォータールーで住民たちが逃げ出してゴーストタウンになったとか、欧州その他の国や地域で牛や鶏、ミンクなど畜産動物が死んだり、奇形などの異変が見られるようになったなど色々あるものの、先の記事の「参考」に示した公衆衛生学のサイモン・チャプマン(Simon Chapman)と保健医療学のフィオナ・クライトン(Fiona Crichton)による”Wind Turbine Syndrome: A Communicated Disease”では、それらの出処や背景などの詳細とともに「疑似事実」(factoid)であると報告されている。

 この”A Communicated Disease”は「人々がそのことについて話したり、読んだり、描いたりすることで広がる病弊」を意味し、その「心因性疾患」(a psychogenic disease)について、チャプマンとクライトンは「ノセボ効果」を指摘。ノセボ効果は偽薬などで知られる「プラセボ効果」の真逆で、否定的な強い思い込みなどから実際に体に症状として現れること。これまで実施された低周波・超低周波の二重盲検法(double blind test)の結果に裏付けられるように、非常に説得力がある。

 「病は気から」ということわざがあるように、「風車病」は人々が「無視出来るようなリスク」(negligible risks)でも不安や恐怖を煽り煽られ続けることで起こる社会問題。予防のための「特効薬」があるとすれば、やはり、自らウィンドファーム/ウィンドパークに足を運び、体験することから。偽情報や誤情報に常に気をつけて、内面化しないことが「免疫」確保の第一歩になる。

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