日本をディストピアに結び付ける 日本共産党編

武蔵大学人文学部教授の北村紗衣先生と同大学の先生方は、ディストピア作品を日本に結び付けない学生は問題だと批判しました。

もちろん、この批判に対する反例は数多く存在し、結びつけないのは問題でないことは「文学の専門家の言うことを信じていいんですか? 批評編」で示されています。

しかし、講義中に問題だと批判されたら、成績評価の心配から批判を受け入れる方が無難でしょう。といっても、二重思考の観点から北村紗衣先生をディストピア作品に結び付けた匿名ダイアリーのように結び付けても先生が受け入れてくれるかは未知数です。そこでここでは、ディストピア作品を日本共産党に結び付けます。

具体的にはオーウェル作「1984」に登場する二重思考を日本共産党に結び付けます。「1984」では架空の書籍を引用する形式で、二重思考を次のように説明しています。

二重思考とは一つの精神が同時に相矛盾する二つの信条を持ち、その両方とも受け容れられる能力のことをいう。

ジョージ・オーウェル 1984

日本共産党における二重思考(相矛盾する二つの信条)の例として、日本共産党における問題の指摘に対する対応を挙げます。

日本共産党における問題の指摘に関する二重思考

二重思考の一方として、しんぶん赤旗日曜版編集長 山本豊彦さんが、テレビ東京で2月7日に放送された「60秒で学べるNews」の中の「政治とカネ問題を暴いた赤旗って?」でゲストや司会者と次のやり取りをしています。

ゲスト:そもそも、赤旗さんではどんな人が新聞の制作に携わっているんですか?
山本豊彦編集長(山):今、通年で赤旗は記者募集をしております。唯一の資格というのは、日本共産党員であること、というだけで学歴は不問。
(略)
司会者(司):この赤旗なんですが、共産党の機関紙ということで、イメージだけで言うと「反自民」のことを書く新聞という認識はあるんですか?そこはどうでしょうか。
山:赤旗というのは日本共産党の機関紙なんで、まあ、党利党略のためにやってんじゃないか、と思われがちなんですけど、それはまったく違うんです。やっぱり、国民の立場から権力の暴走を監視するというのが一番の役割だと思っているんですね。
司:実際、いまその、政権を監視するという役目もあって機関紙を書かれている。実際もし、共産党が政権を握ったときはどこまで書けますかね?
山:まあそれはやっぱり同じように権力を監視するってことでしょうね。
司:自分のところの党の権力を監視?
山:それはそうでしょうね。実際、問題があれば書いていくということをやり続けるしかないかな、と思ってるんです。
司:その中での立ち位置をしっかり守ってと。
山:そうですね。ええ。

他方、日本共産党の問題への指摘に対して、しんぶん赤旗は問題をすり替え、党規約を理由に指摘した党員の除名を正当化しています。

松竹氏の一連の発言および行動は、党規約の「党内に派閥・分派はつくらない」(第3条4項)、「党の統一と団結に努力し、党に敵対する行為はおこなわない」(第5条2項)、「党の決定に反する意見を、勝手に発表することはしない」(第5条5項)という規定を踏みにじる重大な規律違反です。

しんぶん赤旗 松竹伸幸氏の除名処分について

つまり、前述の山本編集長の発言は現実に反しています。山本編集長の発言にある「(日本共産党に)問題があれば書いていく」は日本共産党の綱領や民主集中制に反するので、赤旗で日本共産党の問題を指摘することはありません。民主集中制がある日本共産党では、共産党員が外部に対して意見を表明する場合、党の意に反した発言をすることができないのです。

しかし、山本編集長やしんぶん赤旗では、「日本共産党の問題を指摘する」と「日本共産党の問題を指摘した党員の除名」は両立しています。これが二重思考です。

発言を引用した番組では、しんぶん赤旗の記者を募集していました。そのとき、二重思考ができないとしんぶん赤旗ではやっていけないことを説明しないのは、後でトラブルになりかねないと心配になりました。実際、日本共産党の問題の指摘に理解を示すだけで、「あまりにも党員としての主体性、誠実さを欠く発言」と、日本共産党委員長によるパワハラではないかと指摘が相次ぐレベルで、批判されるのですから。

まとめ

武蔵大学人文学部教授の北村紗衣先生と同大学の先生方による「ディストピア作品を日本に結び付けない学生は問題だ」という批判の意思に沿うために、日本共産党をディストピア作品であるオーウェル作「1984」に結び付けました。

しんぶん赤旗や日本共産党の関係者や支持者は、日本共産党はディストピアではないと反論するかもしれません。武蔵大学人文学部教授の北村紗衣先生によれば、それはディストピア作品の登場人物のせりふであり、日本共産党がディストピアであることを強く示すものだとしています。北村先生が正しければ、ですが。