初めて前髪を切ったら、見覚えがある顔だった
物心ついたときから、おでこは常にフルオープンだった。
小学校も中学校も高校も大学も社会人になってからも、常におでこはフルオープン。ロングヘアーでもボブもどきでも、おでこはいつでもフルオープン。
そんな人間が、この度前髪を切った。(アイコン参照)
「印象だいぶ変わりました!」と美容師さんに言われながら、私は強い既視感を覚えていた。
この顔(マスクあり)、しっているぞ。
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髪型を変えるとき、そこには何らかのドラマがある……こともある。
古の少女マンガ的には失恋だったり、環境変化だったり、イメージチェンジだったり。
明日、人に聞かれたら「心機一転、気合を入れました!」とでも答えようと思っているが、実のところは非常にしょうもない理由だ。
推しが前髪ありでもなしでも美しいからである。
好きなもの、好きな俳優、好きな食べ物などは思いっきり周囲に推していくタイプなので、現在最大級に推している俳優さんについても思いっきり周囲に推している。その結果、非常に恐れ多いことに「ナルシスト」の称号を得た。めちゃくちゃに美しい推しと顔が同系統とのことである。呆れたように言われたが気にしない。心根の美しさが映し出されたかのように麗しい推しと似ていると!?天啓である。
確かに、推しの映像で安心感があるのは額が出ている髪型だ。実家のような安心感。
しかし、推しは額が隠れていても美しい。かっこいい。可愛ささえある。
つまり、私も前髪を切っても似合うのではないか???
思い付きを胸に、私は美容院に行った。
ベテラン美容師は首を横にふった。前髪の生え際のクセがあって、このまま切ったら大惨事になると。
諦めかけた私に、彼は続けた。
前髪を下におろした状態でクセ付けられたら、行けるかもしれない。
それから2週間、気を抜くと呪いのビデオに出演しかねない状態の髪をマスクの力で固定するという文面だけでは表現できない荒業でもって、クセ付けは行われた。非常に邪魔であった。
そして今日、ついに前髪が切られる時が来た。
マスクのまま、鏡の前に座った私の前髪が持ち上げられ、少しづつハサミが入っていく。
徐々に、新しい髪型が形作られていく。
そして、だんだんと見覚えのある姿になっていく。
あれ、この顔知っているぞ。
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それは、決して推しの顔ではなかった。
けれど、とても見覚えのある顔。
推し以上に大切な、妹の顔だった。
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というわけで、初めて前髪を切ったら妹と似てました!
鼻も口も違うんで、マスク外したら別人でしたが!以上!解散!
(そして特定の角度で半眼になると、半眼の推しと似ていると言われたけれど、それはちょっとどうなんだ。)
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