上京した女の話 8

カップヌードルの知人の話が続く。今日はゲイの先輩の話だ。今日もまた「田舎には出会いがない」という話になったので、知人はマッチングアプリを勧めたのだという。だが、先方はいつものように理屈をつけてきて動こうとしない。先方の話では、「この歳になったら財力しか効かないが、肝心の財力がない」とのことだったので、友人としての関係性を相手と続けるのはどうか、と提案したところ、「自分のことを丸ごと愛してくれる人がいい」と返事が返ってきた。知人は半ば呆れ気味に、そういう幻想を抱いていいのは十代までだ、と言って電話を切ったという。確かにそうだ。夢を見るのは構わないが、年齢制限というものがある。職場の男性上司によれば「男はいつになっても五歳児」とのことだが、だからといって無理な注文ばかりされても困る。知人は気分を切り替えて年下の友人と社内報への投稿についてこれから話をすると語っていた。「類は友を呼ぶ」というから知人自身もうまく立ち回れていないのかもしれないが、その話を聞いてもこちらの運気が下がるだけだ。今日は早く寝よう。