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●サンショウの実採集会

毎年、5月半ば頃になると、姪の夫婦とその友人たちと姪の母親、つまり 義妹が我が家にやってくる。庭に40本を越えるほどある〈サンショウ〉の実を採るためだ。サンショウは実の生る木とならない木があるので、義姉は目印に赤いビニール袋を枝に結んでいて、その木から採ることになる。

姪の夫は、知る人ぞ知る〈カレー店〉を経営していて、本を出したり、他の人の本に掲載されたりもしている。このサンショウの実を使って、店に出すカレーを作り、評判が良いらしい。レトルトカレーも作っていて、売りに出してもいるそうだ。義姉と味見させて頂いた事もある。

5月18日。10時に、6人で来られ、すぐに身支度をして、庭へ出て行った。姪と友人たちは50代半ばの元気盛りだ。私だけは、毎年サンショウには近づかず、1度も参加したことはない。以前『左右対称の後遺症』というタイトルで、note の『合閒のひと休み』に載せたことがある通り、私はサンショウの葉の形が怖いのと、臭いもあまり好きではないから、その臭いの中で、延々と2時間も実を採集し続けるなんて、御免被りたい。

それで私は、1畳大のテーブルの上に、ランチの下準備をしておくことに する。12時近くに、寿司屋から寿司7人前とウナギ丼1人前が届くことになっているので、小皿、醤油、取り皿などを、用意しておく。そして、前日から準備しておいた〈リスの冬ごもり〉や〈五目豆〉〈フキの煮物〉に、今朝から準備した〈野菜サラダ〉〈春菊と白菜のおかか和え〉〈ゆで春菊〉〈ポテトサラダ〉などを並べる。

義妹が張り切って作ってきてくれた〈豚カツ・エビフライ・玉ネギフライ〉と、〈細いタケノコ煮〉も、2皿ずつ並べていく。豚カツがどっさりあるから、キャベツを刻まなくては、と庭で取れた紅色のサニーレタスの上に、細くきざんだ黄緑色のキャベツを載せると、おいしそうな色合いになった。

そこへお寿司が届き、テーブルの上は満杯状態となり、お茶の用意だけすませて、庭にいる皆を呼び集める。

「12時過ぎだから、ごはんにしましょう!」と。

食事が始まると、仕事の後ではあり、皆どれもおいしがっている。姪の友人たち女性2人と男性1人の3人は揃って独身で、こんなにいろいろのご馳走を食べられるなんて、と欲しい物を欲しいだけ取っていて、私は見ているだけで嬉しくなる。フキの煮物やタケノコ、春菊、キャベツがよく売れた。

食事が終るころに、「残り物をなるべく持ち帰ってね。義姉と私の2人では食べきれないから」と、ビニール袋を渡す。義姉がふだんから取り置いた空きビニール箱も活用して、豚カツ類の残り物も、春菊やキャベツの残り物も皆きれいに片付けてくれた。

その後、テーブルの板だけになった1畳台の上に、新聞紙を敷き、葉っぱや枝付きからサンショウの実だけを、新聞紙の上でちぎり取って、1つの大きなボウルに入れていく。3時頃までかけて、今年は3.2キロの実が採れたそうだ。私はその間、隣の私の部屋で、パソコンに向かっていて、サンショウの実には、まったく近づかなかった。去年は5キロを越えて採れたのだから、今年は少なかったのだ。

おやつはケーキと紅茶ですませ、4時近くに沢山の土産物を持ち、また来年ね、と言い合って、バス乗り場へ向かう。40代の男性Y君は、来る時も帰る時も、バスには乗らず、駅まで歩くそうだ。東京マラソンにも2回出られたそうだから。
私は参加はせず、裏方だけだが、こうして集まってワイワイやってるのを、
見てるだけでも楽しかった。いつまで出来るかが、問題なのだけど。

●●予告:明日から『祖父と煙管』を始めます。昭和期の話ですが、主人公の回想により、現在と過去とを行ったり来たりしますので、読みにくいかも知れませんが・・。よろしく!

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