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再根管治療はナンギ!

  日本で「再根管治療」は多い?

「初回の根管治療」が不幸にも失敗に終わってしまった(根尖性歯周炎になり、痛みなどの症状が出てきた)歯が待っているのは、二回目以降の根管治療「再根管治療」です。

日本では「初回の根管治療」に比べて、「再根管治療」が多いイメージですが実際はどうなのでしょうか?少し前のデータですが、政府統計の総合窓口(e-Stat)で公表された2009年の1年間に行われた永久歯の「抜髄(初回の根管治療)」と「再根管治療」症例の総数は1,350万例以上にのぼります。この内訳は、抜髄(約600万例)再根管治療(約750万例)となっています。これは何を意味しているのか?私はこれを見た当時、意外と「抜髄」多いな!って思いました。

さらに、懸念されるのは根管治療時のラバーダム防湿などの「無菌的処置の原則」を遵守しておこなった「抜髄」と「再根管治療」の成功率でさえ、それぞれ90%前後と80%前後と報告されており、日本の一般的な臨床現場では根管治療後の経過不良症例が多数存在しているに違いないと想像されることです。

当院では、歯の神経を取らずに残す「生活歯髄療法(VPT)」を希望される患者さまが多く、その後に「抜髄」にいたるケースが非常に少ないため、「抜髄」症例は激減しています。その一方で、残念ながら妥協的な「根管治療」・そこそこの「根管治療」が施され、痛々しい「根尖性歯周炎」を呈している歯を多く目にします。

日本の「根管治療」の問題点とは?

日本では「根管治療」に関わる保険点数が非常に低いため、「採算の取れない治療」と考えられています。むし歯になったら「充塡処置」をおこない、症状が出たら「抜髄」、次に症状が出ると「再根管治療」、再発したら「抜歯」をして、歯がなくなったところをブリッジや入れ歯といった「欠損補綴」をおこなうという、1つの歯で5回の治療内容を保険請求できる「負のサイクル」に縋る歯科医師が未だに存在していることが問題で、本当に残念に思います。

保険診療における「歯内療法」の低評価は歯科関連の誰もが認める事実ではありますが、平成28年度診療報酬改定では「医科」より「歯科」が恩恵を受けた内容でした。特に、「歯内療法」の領域で「歯科用CBCT」による診査・診断と「マイクロスコープ」を用いた特定の治療に加算が付与されたことは評価すべき点であると思います。

再根管治療の難しさ

再根管治療」がなぜ難しいのか?一度治療が施された二回目以降の「根管治療」を成功させるためには、超えなければいけない壁が多くあります。根管壁にこびりついたガッタパーチャ・シーラーと感染源の除去、亀裂・破折の有無やそれに対する対応、破折して取り残された機械器具の除去(医原性のもの)、破壊された根尖孔への対応、本来の根管から逸脱した根管の修復作業、緊密な根管充塡法の選択など、まだまだあります(笑)。

歯内療法専門医」は上述の根管内の問題はもちろん解決可能ですが、歯周病の併発症例や難治性の根尖性歯周炎(歯根嚢胞など)の場合は、歯を抜かずに保存するため、さらに「外科的歯内療法」が必要になり、一手間かけます。

次回は「歯内療法専門医」が患者さまの歯を抜かずに守るため、最後の砦としておこなう「外科的歯内療法」について "note" します!


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