相談2

死と出会い 25話 相談

僕は同級生の下川原勝司の話を麗香にした。いじめを上級生から受けているということを。すると、麗香は驚いていた。

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 僕は同級生の下川原勝司の話を麗香にした。

いじめを上級生から受けているということを。

すると、麗香は驚いていた。

「誰がそんなことするんだろ……」

「僕が見た時は体が細く背が高くて坊主。もう一人は、太っていて背が低く普通の髪型の人だった」

麗香は悩んでいる。

「うーん……。誰だろう。二年生じゃないのかなぁ」

「じゃあ、三年生?」

「かもしれない。わからないけどね」

麗香は悔しいのか上唇で下唇を噛んでいる。

「僕の親友はいじめを苦に自殺しているから、同じことを繰り返してほしくないんだ」

「それは絶対に避けなきゃね!」

うん、とうなずいた。

「同級生は何組?」

「三組だよ」

「担任の先生も知らないよね」

「多分。知ってたらこんなに穏やかじゃないはず」

確かにそうだと思ったから黙っていた。

「どんな感じの同級生?」

「内気でおとなしい。でも、以前話しして、担任に言わないの? と訊いたけど、言う気はないみたい」

「そうなんだ」

「挙句の果てに、関係ないだろ、って言われたし」

考えついたのか、

「うちが話してみようか?」

「うん、お願いできる?」

スーパーマーケットの中が混んできたので、

「混んできたから出よう?」

と、僕は言った。

「そうね」

と、麗香は言った。

「今、五時すぎだけどもう帰るの?」

「今日は、お母さんいないから、うちがご飯支度しなくちゃいけないんだ。だから今日はこの辺で。ごめんね」

僕は謝るのはおかしいと思ったので、
「そんな、謝らないでよ。麗香はえらいよ。家のことして。僕はなにもしてないし。好きな読書を毎日してるだけだよ」

「自分の好きなこと出来ていいじゃない」

「まあ、そうだけどさ」

僕は麗香が好きなことしていないのかな? と思った。

バスケは好きじゃないのかな、とも思った。

訊きはしないけれど。

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