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小屋と看板と政治ポスター

こんにちは。田畑や漁港のすみに建つ小屋に魅せられて、あちこちを巡っています。すぐに役に立つような情報ではありませんが、どうぞしばしお立ち寄りください。

道路沿いに建っている小屋には案外と広告看板がつきものです。例えば金鳥の蚊取り線香や大正製薬のリポビタンDの琺瑯看板などは比較的容易に思い浮かべることができます。そうした全国区の大企業だけではなく、地酒や地元の動物園、個人商店の看板もよく見かけます。そこから地域の特色を見出すのも楽しみ方のひとつです。

福島県にある東北サファリパーク看板の隣に小さく張られているのは畳屋さんの看板(2020年7月、岩手県で撮影)

もうひとつ、小屋によく貼られているのが政党・政治家のポスターです。これの扱いはなかなか難しいものがあります。Web上に公開すると、特定の政党や政治家を推すことになりかねないですし、そもそも、政党のスローガンや作り笑いした政治家の写真などは、誰もあまり見たくないでしょう。
しかし、考えようによっては、これも広告看板同様に貴重な時代の証言者となりえます。例えば、現総理大臣の岸田氏のポスターを今アップすると政治色を帯びかねませんが、時間を経ればひとつの時代を表すことになるでしょう。そのような長期的な視点も、小屋に限らず路上観察には必要なのかもしれません。
とはいえ、どんな政党や立派な政治家であれ、ポスターのある風景にレンズを向けるのは気乗りしないというのが、正直なところです。

政党ポスターは選挙や首相交代の度に張り替えられるので、案外寿命が短い(2022年1月、島根県で撮影)

そして看板といえば、消費者金融とキリスト看板も定番です。
「お車で融資」「クレジットカードのショッピング枠を現金化」という明らかに危険な香りのする看板と「イエス・キリストは世を正しくさばく」という宗教看板とが、ひとつの小屋に一緒に貼られているのを見かけました。それが次の写真です。
お金と宗教。ともに人を支え、魅了し、ときに振り回す存在。
少々くたびれて傾いた小屋が、この世の複雑さを教えてくれているかのようです。

(了)
2022.07.05

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