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DunsmuirからEtnaへ!旅の始まり(後編)



トレイルの歩き方

トレイルライフにも徐々に慣れはじめ、カウボーイキャンプや食事、パッキングなどは日々のルーティンとなり、早く準備できるようになってきた。

しかしなかなかトレイルの距離感やスピード感がいまいちつかめず、自分に見合った歩き方が掴めずにいた。まず距離をマイルで計算するのに慣れなくて、疲れるとあと何マイル歩くかの簡単な計算もできなかった。笑

その時は、とにかく毎日たくさん歩くハイカーはかっこいいと思っていて、初めのセクションは鬼の形相でゼーハーしながら歩いていたのだけど、距離を稼ぐことに必死になりすぎて全くハイキングを楽しめていないことに気が付いた。

去年からアメリカにハイキングにいくことを決めたわたしは、そもそも日本から離れて日本にないような地形や植生を観察して楽しんだり、
大自然の中でのハイキングを存分に楽しみたくて来たのだ。

なので見合っていない歩き方は辞めて、湖を見つけたら水浴びをしたり、テンカラを少し振ってみたり、ハイカーと話したり、広い草原を見つけたらお昼寝をしたりトレイルを楽しんだ。
自分がやりたいハイキングはこういうのだったなと思い出した。

1時間くらい昼寝したり
PCTスルーハイカーと話したり


そんな感じで歩くの楽しんでいる頃にEtnaへのトレイルヘッドに到着した。
Dunsmuirからちょうど100mile。6日目の昼頃に着いた。

6日間は登山などを初めて一番長く歩き続けた日数だった。
既に前回の記事でも書いた内容も含めたくさんの学びや失敗を繰り返した。

例えば、バディにスタート前に「バッテリー大丈夫?」と聞かれて、「これ4日持つからいけるよ!」と6日の工程を迎えていたわたし。
相変わらず詰めが甘い。
残りの4日間はバディに節約をさせてしまい申し訳なかったなぁ・・・。

色んなことがあったけど街には行けそう。

そして初めてのどきどきヒッチハイク。
「Could you give me a ride?」のフレーズを何回か練習して親指を上げる。
有り難いことに20分くらいで一人の男性が止まってくれた。練習したフレーズも無事に言えて乗せてもらえた。カーブする度に身体が偏るくらい荒い運転だったがとても優しいひとだった!

人生初ヒッチハイクはこの方


そしてファイナリー!Etnaー!!!

まじで甘い炭酸飲料が飲みたくて仕方がなかった。すぐにスーパーに行きとりあえずセブンアップを買って乾杯。記念すべき初タウン。
やっと久しぶりにシャワー浴びれるし、ベッドで寝れる!とウキウキしていた。Faroutで宿もチェックしていたので泊まれるだろうと確信していた。

街を歩き、目星を付けていた宿にいくもオフシーズン感が漂う・・・。
ベルを鳴らしても誰もでてこない。詰んだ。
とわたしは思った。
もう1個の宿も同じく閉まっていた。残りの選択肢は5ドルのテントサイトだった。私は、6日間も頑張ったのにまたテントか・・と思い不機嫌になってしまった。仕方なくその日はテントサイトにテントを張りご飯を食べに地元のブリュワリーに行った。ビールがうめぇ。沁みるとはこのこと。

翌日はゼロデイを取ったので、街を徘徊。
昨日の宿を通ったので期待はせずにベルを鳴らしたら人が出てきた。ハイカーのピークが過ぎたので現在は電話で予約を受けて部屋を提供していたらしい。
ちょうど部屋も空いてるとのことなのでテントを撤収して戻り、泊まらせて貰った。
ハイカーがよく使う宿は洗濯機、乾燥機、着替えが置かれていることが多い。そしてキッチンも使えるので節約のため、自分たちでパスタを作って食べた。

キッチンでビールを飲んで自炊


Etnaでゼロデイを取り、リサプライを済ませてヒッチハイクをしてトレイルヘッドに戻る。
こちらはイケてるマダムが消防車を煽りながらトレイルヘッドまで我々を届けてくれた。

マダム

わたしの釣り日誌

次の町までは大体60mile弱なので食料は3日分を持った。
さっそく歩き始めて2時間だっただろうか。
私が先行して歩いていて湖を見つける。
目を凝らして水面を見つめる。水面が波紋している。
さらによく見ると魚がパシャパシャとライズしていたのだ。

この距離からライズが分かった


もう言葉にならないくらい一人でテンションが上がり小走りで湖畔に向かい、バックパックを投げ捨てるように置いて、テンカラにフライを付け始める。
バディが来るまでにどうにか一匹先に釣って自慢したいと強く思った。釣りたい気持ちが強いと殺気が魚に伝わるというので、はやる気持ちを抑えて竿を振った。ラインが微妙に短くてライズしている場所に届かない。

湖畔は若干、沼のようになっていたので足場を探しているときにバディも到着。
「めっちゃライズしてるけど、足場が難しい」と言うと、「ちょっとこの辺から投げていい?」と言われテンカラを渡す。
三回くらい投げて先にバディが小さいが綺麗なレインボートラウトを釣った。
く、悔しい…。私の釣りスイッチが入った。

バディが釣ったレインボートラウト

私もぎりぎりな足場で行ってみる。
魚は何匹もいるのを目で確認できた。
虫もたくさん飛んでいるし、釣り人もあまり居ないだろうからスレてないだろうと思っていたけど、意外と鼻先で見切る子も多かった。

10分くらい打ち続けていたら1匹食いついた。

引きの感じからあまり大きくはなさそうだったが釣り上げたら、オレンジ色のお腹に綺麗な点々が入っていた。これはブルックトラウト。日本では釣ったことがなかったのでとてもうれしかった。
これで釣り熱がさらに加速してしまい、1匹釣ったら交代制で二人で色んな場所から釣りをした。このあとブルックトラウトは現れなかったが、レインボートラウトを3匹ずつくらい釣って満足した。

ブルックトラウト


頭の片隅にはあったけど気付かないフリをしていたが、そう、我々はトレイルヘッドに今日戻り、まだ4mileしか歩いていないのだ…。
最低でもあと10mileは歩かないといけない。
時間は10時すぎ。
とりあえずご飯休憩を兼ねてしばらくふたりで湖を見ながら休憩した。
バディは去年もPCTでハイキングをしながら釣りをしていたのでなかなか大変だったと聞いてはいたけど、釣りを楽しんだあとに今日歩く距離を思い出すと軽く絶望した。笑

だけど記念すべきPCTで魚をキャッチできてとても満足した。そしていま写真を見返してもこんな景色を前に釣りをしていたのかと見惚れてしまうくらい綺麗な場所だった。

愛しのトラウトをキャッチ
目の前には壮大な景色

ここまで色んなトラブルというか思った通りにいかないことのほうがほとんどだった。
初めはその度に不機嫌になったり、げんなりしたりしたけど、そもそも旅というものはそう言うものだよなと思った。

そして、ここはアメリカの大自然の山の中。
分かりきった毎日はつまらないだろうし、こうしてたまにご褒美のような釣りもできたりするのだ。

やっとロングトレイルの醍醐味を味わえてきた気がする。

次回に続く。

Happy trails!

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