13:09→13:56

ガタンゴトン ガタンゴトン ガタンゴトン
ガタンゴトンガタンゴトンガタンゴトン...




正面に座る人間の全身
その正面の座席の列に座る人の全身
あるいは目の前に立つ人の下腹部
左右にいる人の半身
端の仕切りを超えて見える人の背中
立って乗車する人のふくらはぎ
人人人...


隣の男はしきりにキョロキョロ首を動かす。
お前は鳥なのか、それともキチガイなのか。

正面の女は俺を凝視している。
俺も負けじと女の目を凝視する。
それでも女は目を逸らさずに、俺を凝視する。
強い女だ。
気味が悪い女だ。
しかしよく見れば、こいつは斜視だ。
左目だけが正面を向いている。
なんだ、俺を見ているわけでは無かった。
小蝿と勝負


電車に入場した瞬間に素早く左右を見てみろ。
お前を見ている人間がちらほらいるだろう。
暇だ暇だと苦しむ者は
どんな奴が入ってきたかを確認する奴だ。
そして大抵老人ばかりだ。
ルーキー入場


膝がこちらを向いている。
靴はやや内を向いている。
眼は斜め下を向いている。
男は膝をチラリチラ
男は靴をチラチラリ
チラリラリラリ・ラリチラリ
イーチアザースケベ


着信音が鳴っている。
曲はショパンのノクターンだ。
どんなやつかと見てみれば
3人並ぶ女ども。
1人は制服姿であり
1人は若めな服であり
1人は年相応の服である。
犯人は...



明るみが赤面しゆく窓の外。
走る影らが夢の跡。
車内を歩く人々も。
何を思って歩くのか。
階段近くを目指すのか。
汚いヒトが居たからか。
あるいは意味などないものか。
ランナー

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