我が家のお『スピ』様
//突然だが、私はいわゆる『スピリチュアル』の類が好きではない。幼少期は占いやおまじないを多分に信じ込み、本気で各書籍に書いてある諸々の所作を実践していたが、ある時を境にめっきりやらなくなった。やらなくなった当時そこまで自覚的だったかどうかは定かでないが、恐らくあれも宗教であることに気づいたのだろう。自分が気づいてくれてよかったと、心底思う。
//基本的に、思想は個人の自由だと思っている。何を信じ、何を感じるかは、誰にも強制される謂れはないと思っている。だから私もこの考えを人に押し付ける気はない。しかしなんというか、生まれる環境は選べないというか、血は争えないものであったのだなというか…結論から言うと、我が家の母上は人からの影響を多分に受けやすく、『スピ』適性が非常に高かった。
//とはいえ、彼女のお『スピ』様ムーブは基本的にはかわいいものだ。遊びに行った友人の家がパワースポットだった、と言い出して、下駄箱の靴はつま先をこちら側に向けて収納すると運気が上がるのだ、などと述べ、それを家族に強要するくらいだ。あれは確か大体1週間くらいで元の木阿弥だった。唐突に高額商品を買ったりすることも無く、こういう類のものが数ヶ月に1回唐突に発生する程度で、特に恐ろしいことは何も無い。
//ある程度の教育を受けて育った両親なので、いわゆる『似非科学』方向へのスピ嵌りがなかったのは今思えばそれだけでもマシだったと思う(私達姉弟が病弱気味な体質だったことから食に関してはオーガニック信仰が多分に存在し、自然派系とは紙一重のところだったとは思う。母上が自然派でなくて本当に良かった)。ただ、それでも同じ家に住まう人間として、容認できないことは幾つかある。
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