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monochrome - モノクローム

パリの街にはモノクロームがよく合う気がする。

もうずいぶんと昔の話だけど、パリの街を写真を撮りながら散策したことがある。iPhoneもデジカメもない時代だったからフィルムのカメラで気に入った街の景色を撮っていった。もちろん一眼レフとかいいカメラは持っていなかったので、旅先でスナップ写真を撮るようなおもちゃみたいなカメラで。

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古い建物がひしめく街の景色がいいからか、あるいは白黒写真のトーンがいいからか、素人が適当に撮ったものだけど味のある画に仕上がったと思ってる(自画自賛だけど)。ぼくは十字路や直線の路がとても好きなこともあって(横尾忠則さんならY字路だろうけど、ぼくは分かれ道よりは直線の道が好きだからしょうがない)中心に直線的なストリートを据えた写真がいくつもでてくる。そういう写真ばかりなのはこの路の先に何があるのか?気になるから。いまではずいぶんと街並みも変わってしまったと思うから、こんな風に残っている過去の景色は自分にとってとても貴重なものに見える。

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ぼくは何枚もある写真のなかから一枚を選んだ。中央が駐車スペースになっている通りの写真。パリではめずらしくない前後に隙間なく駐車する姿が映し出されている。こういうのを見るだけでああ懐かしいなと思ってしまう。そして街路樹が並ぶ通りはどこまでも直線的に続いているように見える。それはぼくにとってのパリの通り。

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モノクロームの写真に合わせるように黒いフレーム選び、パッスパルトゥの紙を手前にめくりあげるシンプルな技法を用いることにした。白いマットだけのシンプルなかたちもよかったけれど、少しだけ遊び心を加えたくなったから。モノトーンの作品は白黒の写真を引き立てる感じに仕上がってくれた。

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ぼくは飾った作品の前に立っていろいろなことを思い浮かべる。それはかつてのパリの街であったり、その先に続いているかもしれない通りのこと。そして目を閉じると自分がカメラ片手に歩きながら、写真を撮って回ったときの時代の空気を少しだけ感じられる気がした。

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