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読書

 

「喜友名トト」作。

初めての作者さん。ラノベかなと思いながらも、
表紙の原稿用紙を斜めに配したデザインが、読んでみようかなと本を手にさせたようです。

1日しか記憶が持たない記憶障害の主人公のアキラは、小説を書きます。
昨日書いたことは忘れてしまうのですから、小説など書けるのでしょうかと心配してしまいますが、
主人公は、頑張ります。負けるものか、負けない!と、自分自身に挑戦するのですね。
 
事故の後遺症で、記憶喪失はよくありますが、
アキラは記憶障害。1日だけは記憶が保たれるのですから、小川洋子さんの「博士が愛した数式」を、ちょっと思い出しました。確か、小川洋子さんの作品の博士は80分だけ記憶が保たれたはずでしたから、可愛らしさがあったように思います。アキラは1日。考えてみると、1日24時間だけ記憶が続き、次の日は消えてしまうという設定が、いろいろ難しいなぁと、数字にうるさい私は、非常にひっかかりました。

ところが、作者さんは、見事でしたね。

終盤で、全てのことを、すっきり解決してまとめて回収して、読者に納得させてくれます。

作者は沖縄の人のようです。トトというお名前、いいですね。忘れないですから。コケティッシュで、なおかつ、男性かな女性かなと読者の想像力をかきたてます。

中盤あたりから、ぐいぐいと、目が離せなくなります。感動します。
あっさりタイプの彼女も、とっても良い。

さらっと、主人公のアキラの背中を押し、また、迷いを払拭させてしまう魔力がある女性。

さらさらと、一気に読み終わりましたが、読後感は、じんわり胸が熱くなっていました。