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相手の良い部分を見つける度、自分の自信が薄れていくような気がした。
人の素敵な所はあっという間に見つけられるのに、自分の良さを見つけるのはこんなにも難しい。

好きだと言われて付き合うようになって、遂にプロポーズもされた。
お願いします、と言ったのは確かに自分なのに、不安でたまらなかった。
どうして私なのかという気持ちはぐるぐると細かな渦を巻いて絡み合っていった。
ウエディングドレスに合わせるアクセサリーを、と探して見つけたサンゴのようなイヤリングも、半ば自嘲のような気持ちで選んだ。
もじゃもじゃとしたこの細かい糸の編み目が、まるで自分のようで。
でも、もう違う。

鏡に映る自分を自信を持って見つめることができる。
真っ白のウエディングドレス、糸サンゴのイヤリングを着けた自分。
差し込む窓からの光が耳元の細かな編み目にきらきらと反射している。

人の良さを欠点よりも先に見つけられる。
それがあなたの良さなのよ。
もっと自分を認めてあげなさい!

優しすぎる位優しいのに、なんで自分で気付かないかな。

いいんだよ、それで。
ぐちゃぐちゃしたまんまでいいんだ。
それも含めて君なんだよ。
僕は、君がいい。君だからいいんだ。

珍しく私に怒った姉。
勿体ないなぁ、と笑った友人。
私の両手を包み込んだ彼の暖かい手。

私は、愛されている。
こんなにも深く。

ドアの開く音に振り返ると、タキシードを着た彼が立っていた。

カツ、カツ、と黒のエナメル靴が近づいて、私の前で止まる。
見上げれば、彼は眩しそうに目を細めていた。

俯いて目の前の両手をぎゅっと握る。

「…私、もっと自分のこと好きになるから」

頭上で息を呑む音がする。
目蓋を閉じると、涙がぽたりと落ちた。

私を見つけてくれた彼を、ぐちゃぐちゃの私ごと愛してくれる彼を、私も愛したい。
彼が愛してくれる私自身を、少しずつ好きになっていこう。

顔を上げると、彼はくしゃくしゃな顔で笑っていた。

アクセサリー作家:polari
『糸サンゴのイヤリング』

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