あなたはどんなライターになりたい?
編集者をやっていると、普段の業務でも私生活でもライターさんとやり取りする機会が多くなります。私のケースが少し特殊なのは、すでにライターとして自立している人ではなく、「これからライターになりたい人」にフィードバックする機会がある点です。
そんなライター見習いの人たちと接していて感じるのは、「ライターになりたい」と言いつつ、そもそも「どんなライターになりたいのか」が抜けている人がことのほか多いということ。
何の材料もないところから考え始めるのは難しいので、まずは「ライターの種類」を把握することから始めましょう。
ライターは大きく分けて2種類
ライターには、大きく分けて2種類います。
ひとつは、とにかくクライアントの要求を満たす文章を執筆する、いわゆる「テクニカルライター」的な人々。本来の意味でのテクニカルライターは、商品の取扱説明書などを執筆する職業を指しますが、個人的には「職人気質のライター」はすべてこれに該当すると考えています。
もうひとつは、自分の主張を伝えたい、表現したい、「作家気質のライター」です。作家、というとおおげさに感じるかもしれませんが、「自分が書きたいものを書きたい」人はすべてこちらに該当すると考えて差し支えないでしょう。
職人気質のライターは媒体やジャンルを選ばない
テクニカルライター的な、職人気質のライターは、「書くことを生業にしている」のであって、「自分が書きたいもの」を優先するわけではありません。
自分がその分野に興味を持っているかどうかはさておき、なにかを調べてまとめることが好き、あるいは得意な人が向いています。「知らないことを知ること自体が楽しい」と思える人もこちらに含まれるでしょう。
一昔前はゴーストライターと呼ばれていた、現在でいうところのブックライターなどもこれに当てはまります。
「誰が書いたか」が重視されない文章や記事を書きたいなら、こちらを意識してみてください。
作家気質のライターは表立って活躍しやすい
作家気質のライターは、自己表現の手段のひとつとして「書くこと」を選択した人。ライティングだけでなく、Youtubeやラジオなど、さまざまな方法を駆使しながら発信しているイメージです。
SNSを活用しながら注目を集める人は、みんなこちら側のライターと考えると分かりやすいでしょう。
前者とは逆に、「その人」が生み出したコンテンツが独り歩きすることもあり、非常にキャラクター性が重視されます。そういう意味では、作家気質でなく「キャラクター気質」と呼んでも良いかもしれません。
ともかく、自分を強くアピールしていきたいなら、自分の中に表現したい気持ちや思いがあるなら、こちらを意識すべきでしょう。
両者は完全に二分されるものではない
職人気質のライターと作家気質のライターは、完全に二分化できるほど明確に分かれるものではありません。
職人寄りのコンテンツメーカーもいれば、作家寄りのテクニカルライターもいます。職人寄りのコンテンツメーカーは、ライターというより編集者やディレクターに多い印象です。
作家寄りのテクニカルライターは、取材がうまい人が多いように思います。本人の主張を織り交ぜるわけではないのに、その人がまとめるとなぜかその人の文章になっている、というイメージです。
反対に、完全に職人気質のライターは、個性を出すのが苦手だったりします。
目標を定めて道筋を立てる
自分がどんなライターになりたいか考える前に重要なのが、そもそもなぜライターになりたいのか。
もし、「この人のような文章が書きたい」という目標を持っているなら、あなたは非常に幸運です。
自分を客観的に評価するのは難しいですが、他者の評価ならそう難しくありません。目標とする人がどちら寄りなのかを見極めて、道筋を考えれば問題ないでしょう。
ただ、なぜライターになりたいのかという動機や目標がなかったとしても、焦る必要はないと思います。
そんなの書いているうちに見つかりますし、なんなら実際に書いてみなければ本当の意味での目標なんて見つからないからです。
自分はどんなライターになりたいのか、目標をすっと答えることができない人は、きっとまだまだアウトプットが足りていません。まずはひたすら書いてみてください。
野球選手を目指すのに、野球の練習をしない人はいません。ライターは書く人です。ライターになりたいのに、書く練習をしない理由はないでしょう。
そういうわけで、私もこうして毎日noteを書いています。
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