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下を見て安心したくないから下を見ない人の話

先日、妻と話しているときに「下を見て安心するのが嫌だから下を見ない人」の話になったんですが、それってあまりに危険すぎるよな、というのが今日のお話です。

何がどう危険かって、シンプルに「足元みなきゃ危ないよ。落とし穴とかあったら落ちちゃうよ」ということなのですが、ただただ「下を見ないのは危険だよー」と言っても仕方がないので、今日は「下を見て安心すること」そのものに対するハードルを下げてみたいと思います。

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自分よりも立場や境遇が下にある人を見て、「自分はまだマシ」と思う心理って、あまり気持ちがいいものではありませんよね。

でもこれ、ついやってしまいます。

ついやってしまうということは、ほんとは気持ちがいいんですね。人間の行動の中で「ついついやっちゃうもの」は、わりと本能に基づいているものが多いみたいです。

「下の人を見て自分はまだマシと思う気持ちがいいものではない」というのも厳密には、自分にとって気持ちがいいかどうかではなく、「その心理をあらわにする他人を見たときに嫌な気持ちになった経験がある」ということなんですね。

つまり、他人を見下して悦に入っている人間を見たときに気分が悪くなり、自分はそうなりたくないという思いから、下を見て安心するのはよくない、と思い込むわけです。

でも心理学的には、下を見て安心する心理は精神衛生的にも非常に重要で、下方比較と言うそうなんですが、ストレス軽減とか自信の回復とかに役立ちます。

そういうメリットがあることを本能が知っているからこそ、元気がないときほどついつい自分より下の人を探しちゃうんでしょう。

ここで大事なのは、「下の人を見て安心するのはよくない」と感じたのは「それをあらわにする他人」を見たときであって、「その感情そのものがよくない」と感じたわけではないということ。

下方比較することと、それを表に出すことは、似て非なる行為なのです。

心の中でこっそり下方比較してメンタルを保って、また元気な一面を周囲に振りまく。

そんな風に使いこなせるなら、下方比較はとても素晴らしいプロセスなのだと思います。

というわけで、自信がなくなって落ち込んだときほど、「下を見て安心してる場合じゃない」なんて自分を奮い立たせるかもしれないんですが、そうやって土台が揺らいだときこそ足元を見たほうがいいのではないでしょうか。

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