「軍艦が尖閣接近」で思ったこと

『政府、中ロの挑発拡大警戒 軍艦が尖閣接近』

尖閣については、もう何回も書いてきて、以前書いた内容などは忘れてしまっています。

このままだと尖閣は中国に取られるだろうし、
自民公明の与党政府は何もできないだろうし、
アメリカも動かないだろうし、
過去に、「日本政府は、中国の香港や新疆ウイグル自治区などの人権問題について、欧米と足並みをそろえて批判はするものの、人権問題を理由とする経済制裁には慎重」という話がありましたよね。
欧米から、「人のことは助けもしないで自分だけ被害者づらして」といった対応をとられる心配をしています。政府のみならず、そんな政府を許している日本国民に対しても、何か起きたとしても同情は薄いでしょう。
それでも国民の多くは、そんな自公を支持するでしょうし。予想される未来を確定へと変えるべく自公に投票するでしょうし。
何かあったら「遺憾砲」を政府や首相に対してうって、それだけで終わるでしょうし。


軍事関係の施設でも作ればいいのに。それで反対が起きるなら気象観測所でも灯台でも、建ててしまえばいいのに。
なぜそれができないかマスコミも書かない。困った困ったという報道だけして。
たぶん施設の建設はアメリカに止められているのでしょう。面倒なことはするな。と。
もしくは、尖閣に勝手に建設した場合は、揉め事が起きても、知らないよ。と言われているのでしょう。
それでもって、政治家に交渉能力が無い。
国民も外交に感心が無い。政治家の背中を押すことをしない。

日本国民が政治家に求めるものは、外交能力より地元重視だし。


サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は(略)日本政府による増産要請について「日本から聞いていない」と明らかにした。さらに「日本の新しい大臣が就任した時にお祝いの電話をかけたが、折り返し電話もない」と暴露した。

「日本の増産要請、聞いてない」 サウジ・エネルギー相が暴露:時事ドットコム』 2021年

なんて話もあったけど、口先だけの嘘を言う政府に、支持者は文句を言わずついていく。ならば日本の外交は変わらない。

今月、日本経済新聞において、中国総局長 桃井裕理 という人がこのような文章を書いていました。

始めと終わりを削っていますがほぼ全文の引用となります。
ここで余計な話をすれば、朝日もそうですけど、新聞で自分の名前を出して文章を載せる人は、削るところがなくて困るというか。また、これを読む人が限られ、ネットにまで広がらないことにもどかしさを感じるというか。と言いつつ、私も新聞は読まないほうなので、偉そうなことは言えないのですが。

それで引用です。

 香港のたどった道は国際社会が中国と対峙する上での教訓を指し示す。
 第一に、中国の行動について「コモンセンス(常識)」を基準に推し量れぱ判断を誤る。
 香港でも習氏がここまでの弾圧はできないとの見方も多かった。理由の1つは「さすがの習氏も『50年不変』の公約を破り、国際社会の信頼を失う愚挙は犯さないだろう」との常識だ。加えて「香港の金融機能は習氏にとっても大事なはず」との常識も存在した。
 だが、習氏は国際社会の視線も経済合理性も顧みず、党の正統性と統治拡大のために突き進んだ。
 第二の教訓は、中国共産党が領土保全のために展開する「三戦(世論戦・心理戦・法律戦)」の長期的な性質だ。たとえ足元では現実も歴史も変えられない小さな動きにみえても、長期的には「なかったはずの未来」をつくり出す危険性がある。
 最近、香港の新たな教科書が話題となった。「香港が英国植民地だったことは一度もない」と記されると香港メディアが報じたためだ。常識を超えた主張に英統治時代の最後の香港総督、クリス・パッテン氏も記者会見で「全体主義者は常に歴史の改ざんを図る」と批判した だが、これは中国による突然の改ざんではない。50年前に中国がひそかに仕掛けていた法律戦・世論戦の1つだ。
 第2次世界大戦後、国連は脱植民地化の機運を背景に独立を支援する「非自治地域リス卜」を作成した。80を超える地域が実際に独立し当初は香港とマカオも含まれた。
 つまり香港にとっても国際社会に後押しされた独立への道は十分に「あり得る未来」だったはず―――。だが、その道は多くの人が知らないうちに断たれていた。
 1972年、中国が「香港•マカオは植民地だったことはない」としてリストから削除させたためだ。英国で香港返還問題が真剣に議論され始める前であり、誰もがこの動きを看過した。
 これにより香港の扱いは国際社会や香港自身が関われない「英国と中国の駆け引き」という土俵に持ち込まれ、香港の今日につながった。いわば香港の未来を改ざんした一手だった。
 いま中国が国際社会で展開する行動や主張は荒唐無稽なものばかりだ。
 最近では「台湾海峡は国際水域ではない」との主張を始めた。南沙諸島や西沙諸島では.勝手に海南省三沙市という行政区を設定し、尖閣諸島だけでなく「琉球の帰属は歴史的に未解決」などの言論まで展開している。
 こうした暴論に多くの人が危機感を抱きつつも「常識では通用しない」とも考えている。それでも中国共産党はもっと先を見据えている。

そういえば、
「外国船が中国の管轄する海域で違法に活動し、海警局の停船命令などに従わない場合は武器の使用を認める」
海警法草案の全文を公表したというニュースが流れたのが2020年。
この「中国の管轄する海域」に尖閣が入るかもしれないという指摘が当時ありました。

それ以前にも1992年に国連海洋法条約の規定にある立法管轄権を行使できる中国の領海(領空もだそうです)に尖閣周辺を定めていませんでしたっけ?

「沖縄県・尖閣諸島の周辺海域を『領海』と主張する新たな海図を国連に提出したと発表した」というニュースもありました。2012年。

日経新聞の中国総局長 桃井裕理というかた、それらを分かった上で、新聞の紙面の限られた枠に収めるべく、日本のことは、「尖閣諸島だけでなく『琉球の帰属は歴史的に未解決』などの言論まで展開している」と短く述べているのでしょう。

でも、そこは今回の日本の選挙の争点ではないのですよね。
どの候補者なら「尖閣に施設を建設します」と言うのか気になります。まあ、選挙の公約なんて、その場限りな感じで、言葉が軽い近頃ですけど。実行できなくとも知らんふりできる人が当選したりするものですけど。
TPPの中国加盟でも、政府は軟弱な態度を取っていて、でも、そこのところも争点にはならない。

同じ日に掲載された 日本経済新聞・経済部長・高橋哲史氏の文章。

6月7日に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)は「防衛力を5年以内に抜本的に強化する」と明記した。7月10日投開票の参院選では、防衛費を欧州並みの国内総生産(GDP)比2%まで増やすかが争点のひとつになる。

中国に軍事行動を思いとどまらせるには、どのくらいの費用がかかるのか。
「『攻者3倍の法則』がーつの目安になる」と話すのは、防衛研究所の高橋杉雄•防衛政策研究室長だ。古くから伝わる軍事の鉄則に従えば、攻める側は守る側に対して3倍の兵力を投入しなけばならないという。
 裏を返せば、守る側は攻める側の少なくとも3分の1の戦力が必要になる。力の差がそれ以上に開くと抑止力が効かなくなり、敵が攻め込んでくる可能性は高まる。
 中国は2022年の予算で、国防費を前年に比べて7.1%多い1兆4500億元(約29兆円)とした。5兆円台半ばで推移する日本のざっと5倍だ。
 「『攻者3倍』にのっとれば、防衛費は10兆円規模という考えもあり得る」。高橋氏はそう指摘する。10兆円は「GDP比2%」ともおおむね重なる。

ただ、私は、中国のほうが日本よりお金の使い方が上手いと見ています。
効果的に予算を使っていると見ています。


問題はそれだけのカネをどうひねり出すかだ。増税はハードルが高く、社会保障や教育といった他の予算を削る余地は乏しい。
 国債の増発は財政を一段と悪化させる。国際通貨基金(IMF)の推計によると、日本の政府債務の残高は21年にGDPで260%を超えた。.約200%だった太平洋戦争末期の水準をすでに大きく上回る。新たに借金を重ねるのはもう限界に近い。
 円相場の動向も無視できない。日本は米国などから装備品を買う際、何年かに分けて費用を支払う。ドル建てで購入した代金の未払い分は、22年度予算でおよそ1兆4千億円にのぼる。
 円換算の額は毎年の予算で設定するレートをもとに積み上げたものだ。22年度は1ドル=108円とした。円相場は足元で一時137円台まで下落しており、その分、円でみた支払額は膨らむ。円安がさらに進めば、米国から高価な最新鋭の装備品を買う余力は小さくなる。

中国は日本に比べ、はるかにゆとりのある財政運営をしている。過去30年で国防費は40倍に増えたが、GDP比で1.2%にとどまる。経済が国防費の増加を上回るペースで成長したからだ。
 旧ソ連は1980年代に国防費がGDPの20%近かったとされる。経済がにっちもさっちもいかなくなり、91年に崩壊した。
 中国はその過程をつぶさに研究し、ソ連の二の舞いを踏まないように規律ある財政運営にこだわる。毎年の赤字額をGDP比で3%程度に抑える目標を掲げるのは、その表れだ。
 「中国は常に経済と国防の建設を一体のものと考えている」。中国の安全保障政策に詳しい京都先端科学大学の土屋貴裕准教授はこう語る。
 まず経済を成長させ、それに合わせて国防費を増やす。いざというときに十分なお金を軍事に回せるよう、財政に余裕を持たせる戦略といってもいい。中国にとって、経済成長と健全財政は国防の一環なのだ。

日本の健全財政に関しては、日本の国民も無関心です。
中国にとって、それは国防だそうです。


日本に欠ける発想かもしれない。「成長なくして国防なし」である。成長せずに借金だけを膨らませれば、中国は「日本に隙あり」と判断しかねない。

中国抑止へ防衛力の強化は欠かせない。しかし、それは強い経済の裏付けがあってこそだ。「賢い支出」による成長戦略と一体でなければ、中国が試みる力での現状変更を止めるのは難しい。

みなさんどうでしょうか?
「成長なくして国防なし」は、「日本に欠ける発想」なのでしょうか?

庶民のヒーローというか、日本の有名人やインフルセンサーと言われる人の多くが日本人を客層にしているのですよね。
日本人の大多数が海外からお金を取ってくることに無関心で、なおかつ、日本の借金は「大丈夫大丈夫と念仏唱えれば大丈夫」みたいになっていて。

最近話題にあったウェブマンガの英訳に少し期待しているのですが・・。


参考
「日本のどこがダメなのか?」 中国人が指摘する日本についての感想
なんとなく思い出したので紹介。


蛇足
日経に掲載されていた、地政学者 ブラーマ・チェラニー氏の文章が日本の未来なように感じました。

以下、「インド」を「日本」に置き換えると日本の未来が予測されているようにすら感じます。

中国軍とインド軍は、国境地帯での衝突から2年を経てにらみ合いを続けている。(略)
 2020年6月15日の両国軍の衝突は、一連の小競り合いの中で最も血なまぐさいものだった。当時、インドは世界で最も厳しい新型コロナウイルス対策の都市封鎖に気をとられていた。中国はそのすきを突くようにインド北部、ラダック地方の国境地域に侵入し、強固な要塞を建設した。
 この予想外の侵入は中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席による巧妙な計画ではなかったようだ。(略)
 20年の衝突は残忍さでも際立っていた。96年の2国間協定により両国の兵士が国境地帯で銃を使うことが禁止されたことから、中国人兵士は有刺鉄線を巻いた棒などを使い、インド軍のパトロールに攻撃した。インド兵の一部は殴り殺され、崖から川に突き落とされた兵士もいた。その後インド側の援軍が到着し、中国部隊と激しい戦いを繰り広げた。
 数時間の戦闘の後、インドは死亡した兵士20人を殉職者としてたたえたが、中国はいまだに死者数を公表していない。米情報機関は35人、ロシアの政府系タス通信は45人と推定している。
 真実を明らかにしないのは中国共産党の対応としては予想の範囲内だ。(略)衝突のプロパガンダ映像を公開する一方、死者数の隠蔽を批判した中国人ブロガー少なくとも6人を拘束した。
 国境危機はインドのイメージ失墜にもつながった。インドは中国軍に不意を突かれ、一部の中国人兵士が領土の奥深くまで侵入することを許したのに何の調査も行わなかった。インドの国防支出は米国、中国に次いで世界第3位で、陸軍がかなりの部分を占めている。しかしインド陸軍は長年、中国とパキスタンの国境を越えた行動に何度も不覚をとってきた。
 中国軍は、水が溶けて進入路が再開される直前に危険地帯に侵入した。ところがインド軍は、中国が国境付近で軍事活動を活発化させている兆候を無視した。この大失態にもかかわらずインド軍の司令官は誰ひとり解任されなかった。さらに悪いことに、モディ首相はここ2年間、軍事危機について沈黙している。

「中国が国境付近で軍事活動を活発化させている兆候を無視」
これ今の日本じゃないですか。

ある日、台風が過ぎ去った後に、尖閣に中国が乗り込んでいて、すでに拠点を築いているのを日本人は目にするかも知れません。

自衛隊、大臣、首相とも、誰一人責任を取らず沈黙を守るかも知れません。それで軍備増強だけはするわけです。喧嘩する気もないのに。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?