今回は、日本の復元力はまだあるな、という話。

先ずは外圧。
「国連の機関」が突きつけた「緊急要請」の話。

『小池都知事も焦り…神宮外苑再開発に「国連の機関」が突きつけた「緊急要請」

9月7日、国連機関「ユネスコ」の諮問機関で、歴史、文化的遺産の保存を行う「イコモス」が、東京都に明治神宮外苑の再開発事業をめぐり、計画撤回を緊急要請した。

 「かねてから、反対運動が燻っていましたが、3月に音楽家の故・坂本龍一さんが再開発の見直しを求める手紙を小池百合子都知事らに送ったことで、問題が顕在化しました。その遺志を継いだサザンオールスターズも新曲『Relay~杜の詩』を発表し、曲の中で、美しい森が消えるのは嘆かわしいと歌うなど、再開発に異を唱えました。

 市民運動にさらに火がついた矢先に要請が出されたので、いよいよ無視できない状況となっています」(東京都庁職員)

「イコモスの要請には法的拘束力はありません。ただ、そのなかで『日本政府が介入すべき』という趣旨の文言がありました。あくまで東京都の問題として、事を収めようとしていた小池都知事もこれには焦っています。

 というのも、ジャニーズの性加害問題以降、政界では『国連の機関に目を付けられるとマズイ』という認識があり、小池都知事は環境省に尻を叩かれながら、事態の収束を急がなければならなくなりました」(同前)

 小池都知事以上に慌てているのが、再開発を主導する三井不動産だ。再開発事業は同社を業界首位に引き上げた成長戦略の一つ。今回の計画にも3400億円以上の総事業費が投じられるだけに、計画に支障が出れば大損害はまぬかれない。

記事を読めば分かるように単なる外圧の話とはなっていない。
坂本龍一から始まって、日本国内でも動きがある。

『桑田佳祐が神宮外苑再開発に異を唱える歌「Relay~杜の詩」に松尾潔もエール』

『次世代のために意見のキャッチボールを――移り変わる時代に、サザン桑田佳祐が音楽で生む「コミュニケーション」』

『サザンに続き「鉄道員」浅田次郎さんも明治神宮外苑再開発懸念「少なくとも都民のもの」「金もうけするのは間違い」』

『村上春樹さん、早大のイベントで約1000人の前で神宮外苑の再開発反対を表明 「神宮外苑は僕にとっては大切な土地」』

日本の中に、まだ復元力はあるようだ。

蛇足となるが、明治神宮外苑に関連してこういう話もあるそうだ。

「森喜朗の胸像」はどこに行った? 関係者は「1年以上その話題に触れていない」』

今回の(イコモスの)要請から1年前の昨年8月に、本誌(「週刊新潮」)は再開発の一環で建設される「新秩父宮ラグビー場」のミュージアム内で森喜朗元総理(86)の胸像が建立される計画を報じた。背景には「森ファミリー」の巨大利権が見え隠れしていると指摘したが、(略)

当時、本誌は、
〈森喜朗先生 顕彰胸像建立事業について〉
 と題された文書を入手。それは総理や文部大臣(現・文科相)を歴任し、財団法人日本体育協会(現・公益財団法人日本スポーツ協会)会長として、
〈わが国のスポーツ界を牽引されてこられました〉
 とほめちぎり、2022年5月から9月末日までの期間に〈1口5千円〉の募金を受け付けるとしていた。

 しかも同文書で〈発起人〉として名を連ねるのは、19年のラグビーW杯組織委員会で会長を務めたキヤノンの御手洗冨士夫会長やJリーグ初代チェアマンの川淵三郎氏をはじめ、遠藤利明元五輪担当相、東京五輪・パラリンピック組織委員会元会長の橋本聖子参院議員、森氏の地元・石川県の馳浩知事といった顔ぶれだ。

改めて橋本氏に聞くと、

「ああ、それは分からないんですよ……。どこに置くのか全然分からない。設置場所も決まってないんじゃないですか。知っている人はいないんじゃないですかねぇ……」
(略)
「去年あたりに胸像は出来上がったと聞いていたんですが、どなたが保管しているか分からない。もう1年以上、その話題に触れたことはなかったので……」

 そこで森氏と同じく文教族の遠藤氏を直撃すると、

「胸像の台座とか、どこまで完成したか承知していません。しばらく話題になったこともなかったです」

 川淵氏に至っては、

「オレに聞かれても知らない。いずれラグビー場を建て替えるんだから、その時に入るんじゃない。オレは中心人物じゃないから」

ならばと発起人の代表格で、ラグビーW杯2019組織委員会事務総長を務めた元総務省事務次官の嶋津昭氏に尋ねてみると、

「私が一番分かってないといけないのかもしれませんが、制作中としか聞いておらず、担当者とも話をしていません。ミュージアムに設置するなんて話は最初から出ておりません。完成してから皆で相談します」

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