マルチタスクは通常、いずれの機能においても「さほど」優れているわけでもない

一度話を終わらせたはずの「平均的な人材か? 尖った人材か?」「偏り」「天は二物を与えず」の話ですが、関連するような話があったので紹介します。

https://twitter.com/karizo2022/status/1511994644682637318

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ロシア軍はソ連軍の表面的な改革に過ぎない。ソ連軍は下記の目的のためのマルチタスクツールであった:

1. 核戦争に勝つ
2. ジャガイモの収穫
3. 衛星国家の治安維持

マルチタスクツールは通常、いずれの機能においても「さほど」優れているわけでもないことに注意。
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ソ連軍は核戦争を想定して設計されていた。そのため陸軍のすべての部門は核兵器を大量に使用する戦争のために開発された。通常戦争とは全く異なるものだ。この違いを、ソ連のIFVであるБМП-1 (BMP-1) の例で説明しよう。

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アフガニスタンでもチェチェンでも、兵士は装甲の中に入るより、装甲の上に乗ることを好んだ。なぜか?装甲は軽火器、特に前方からの攻撃から十分に身を守ることができる。しかし、側面の装甲は非常に弱く、機関銃や砲弾の破片で壊されることがよくあった。

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さて、なぜソビエトはこのような脆弱な車両を開発し、大量生産したのだろうか?なぜ彼らは2万台近い BMP-1 を製造したのか?それは、彼らが核戦争に備え、BMP-1が核戦争のために特別に設計されたからだ。核戦争マシンの性能は通常戦争では低いのだ。

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ソ連軍は、核の移動弾幕射撃に覆われて進まなければならない。核の荒れ地を進むために特別に設計されたのだ。BMP-1は、放射能から身を守るために多くの防護策を持っていた。しかし、川も泳いで渡れるようにと、装甲はほとんど積んでいない。

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ソ連軍はインフラが破壊された後の、核の不毛地帯を進まなければならなかった。そのため、車両には多くの放射線防護を施し、装甲はほとんど施さなかった。核の荒れ地では、どうせ大した抵抗は起きない。

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通常戦争では、ソ連軍の利点はほとんど役に立たない。放射線も少ない。それなのに、通常戦争に投入された核戦争用車両は、弱い装甲「が」大きな欠点になっている。そのため、兵士は手作りの保護具を取り付けなければならない。
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核戦争以外にも、ソ連軍にはいろいろな役割があった。その1つが、ジャガイモの収穫だ。文字通りの意味でも、比喩的な意味でもだ。軍隊は、ソビエト経済と労働市場におけるあらゆるスキマを埋めることを命じられた。それがジャガイモを収穫することだ。

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それは、昇進にも影響した。軍隊は畑で働かなければならない。したがって優秀な将校ではなく、優秀な農業経営者が昇進した。ソ連が崩壊した時、陸軍が奇妙なほど無為無策だったのもこのためだ。1991年8月。兵の多くが畑にいたのだ。
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最後に、ソ連・ロシア軍は衛星国での治安維持活動を行わなければならなかった。それがZ作戦の論理の背景だ。それは戦争とした計画ではない。


関連して はてな でのコメントにも考えさせられます。

“マルチタスクツールは通常、いずれの機能においても「さほど」優れているわけでもないことに注意。” 自衛隊も国防と災害対応のマルチタスクなので気になる

人員的、金銭的な制約もあると思います。
その中で、最適や最善を選ぶことになるのでしょう。

日本はマルチタスクを求める傾向があると思います。
とりあえずは、利点と欠点だけは把握しておけば、今後の議論のベースになると思っています。


余計な感想かも知れませんが、
ソ連軍は、「核戦争を想定して設計されていて」、「通常戦闘は不向き」とのことで、専門分野に特化し過ぎたための問題な気もします。ですが、中途半端にもできなかったのでしょう。限られた資源と予算の中で、核戦争に特化したのだと思います。
・・・と言いながら「衛星国家に対する治安維持」の役割も持っているという。
異なる性質の役割の兼任は、きついです。
そして、ソ連軍は同時に「ジャガイモも収穫する農民」でもある。
これ、織田信長が、農民でもあった武士を専門集団として切り離したために、季節に関係無く、いつでも戦えるようになった話を思い出しました。

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