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史実の深層を求めて

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さまざまな歴史事象の背景を多様な視点から考察することで,歴史観や歴史認識を再考してみたい。
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#歴史観

江戸社会(3):江戸時代の物価

『お江戸の素朴な大疑問』『お江戸の意外な「モノ」の値段』(中江克己)PHP文庫,『江戸の…

藤田孝志
2年前
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江戸社会(2):武士の給料

一両とか二分という貨幣換算,200石から30俵2人扶持といった給料や役料,与力-同心とい…

藤田孝志
2年前
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江戸社会(1):江戸時代の見方

「長い間,江戸時代の史料を読んでいると,その時代の雰囲気に染まってしまう。江戸時代の武士…

藤田孝志
2年前

百姓一揆と打ちこわし

貧農史観によって描かれた江戸時代の百姓は,重い年貢に苦しみながら朝早くから夜遅くまで働き…

藤田孝志
2年前
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教科書至上主義の弊害

教員向けの情報誌『社会科navi』(日本文教出版)に,藤井譲治氏の「ようこそ!歴史史料の世界…

藤田孝志
2年前
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『血塗られた慈悲,笞打つ帝国』(2)

江戸幕末から明治初期の移行期を考えている。幕府と諸藩の解体,明治新政府の成立と近代化政策…

藤田孝志
2年前
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『血塗られた慈悲,笞打つ帝国』(1)

多くの史料や書籍を読み深めていくとき,著者の分析や考察のレトリックに誤魔化されて本質を見失ってしまうことがある。このレトリックの罠にはまらないようにするためには自分の考えを構築させながら読み込んでいく必要がある。 論理の破綻が容易に見えるような文章,資料の曲解,歪曲した論法などは論外であるが,厳密な構成による論理に対しては注意深く検証しなければ,翻弄されてしまう。 自己主張の強い独断的な論法は自己矛盾が散見しており,参考にもならない。そのような文章ほど,自己正当化のために他