マガジンのカバー画像

史実の深層を求めて

28
さまざまな歴史事象の背景を多様な視点から考察することで,歴史観や歴史認識を再考してみたい。
運営しているクリエイター

2022年1月の記事一覧

「生類憐みの令」と作州津山藩(2)

昔、津山藩についてネットで検索していて,中野書店『古本倶楽部』「18.お大名の借金」を見…

藤田孝志
2年前

「知らないこと」のこわさ

教科書会社から送られてくる情報誌の中に「教科書活用」というページがあり、教科書記述に関す…

藤田孝志
2年前

江戸社会(4):リサイクル社会

江戸時代が高度なリサイクル社会であったことは周知の事実である。消費された物品の9割が再利…

藤田孝志
2年前
3

江戸社会(3):江戸時代の物価

『お江戸の素朴な大疑問』『お江戸の意外な「モノ」の値段』(中江克己)PHP文庫,『江戸の…

藤田孝志
2年前
2

江戸社会(2):武士の給料

一両とか二分という貨幣換算,200石から30俵2人扶持といった給料や役料,与力-同心とい…

藤田孝志
2年前
2

江戸社会(1):江戸時代の見方

「長い間,江戸時代の史料を読んでいると,その時代の雰囲気に染まってしまう。江戸時代の武士…

藤田孝志
2年前

『江戸空間』

TVやマンガ、映画で描かれる時代劇からイメージされる江戸社会は実態だったのだろうか。たとえば、『鬼平犯科帳』では毎回「押し込み強盗」などの犯罪が起こっている。(TVでは毎週) 現代人の我々がイメージする江戸あるいは明治・大正の社会は、ほとんどがTVなどメディアによって創出された映像からである。はたしてどのような社会と思っているのだろうか。生徒に歴史の授業を教えながら、常に不安がよぎっている。 ………………………………………………………………………………………………………… 『

神戸事件

きのふみし       夢は       今更引かへて       神戸かうらに      …

藤田孝志
2年前
2

百姓一揆の作法

藤野祐子『民衆暴力』より,百姓一揆についてまとめてみたい。 教科書記述も随分と変わってき…

藤田孝志
2年前
1

百姓一揆と打ちこわし

貧農史観によって描かれた江戸時代の百姓は,重い年貢に苦しみながら朝早くから夜遅くまで働き…

藤田孝志
2年前
2

識字率

世界的に見て(世界は80%),日本人の識字率は99%以上とされる。これは江戸時代の寺子屋…

藤田孝志
2年前
2

教科書至上主義の弊害

教員向けの情報誌『社会科navi』(日本文教出版)に,藤井譲治氏の「ようこそ!歴史史料の世界…

藤田孝志
2年前
3

『血塗られた慈悲,笞打つ帝国』(2)

江戸幕末から明治初期の移行期を考えている。幕府と諸藩の解体,明治新政府の成立と近代化政策…

藤田孝志
2年前
1

『血塗られた慈悲,笞打つ帝国』(1)

多くの史料や書籍を読み深めていくとき,著者の分析や考察のレトリックに誤魔化されて本質を見失ってしまうことがある。このレトリックの罠にはまらないようにするためには自分の考えを構築させながら読み込んでいく必要がある。 論理の破綻が容易に見えるような文章,資料の曲解,歪曲した論法などは論外であるが,厳密な構成による論理に対しては注意深く検証しなければ,翻弄されてしまう。 自己主張の強い独断的な論法は自己矛盾が散見しており,参考にもならない。そのような文章ほど,自己正当化のために他