バントは必要なのか？（セイバーメトリクスの観点から）
先日NPBである場面が騒がれていたのを見た。巨人の2023年OPS.787の大城選手が無死12塁でバントをしている場面だ。これには賛否両論あり、バントをさせないべきだったという声も多くあった。
データ分析の観点でいうと、バントをしない方が良いという事実を知っている方も多いのではないか。（知らなかったらすみません。）
しかし、その深い内容を知らない方は多いと思う。それを少し深堀して解説していきたい。（結構おもしろいです。）
Run Valueという考え方。
今回はRun Valueという指標を扱う。Run Valueとは生み出す得点価値のことを言う。Runと省略されることが多い。走るという意味ではない。おそらく。実行とかそっちの意味だ。たとえば、ソロホームランを打てば+1点だ。ただそれだとホームランもしくはタイムリーヒットしか価値がなくなってしまう。
そこで、ヒットやダブルプレーなどあらゆる分野にも価値を付与したものがRun Valueである。ヒットなら+0.388点追加したというように。
とりあえず雰囲気だけで大丈夫。実際に扱ったほうが分かりやすい。
状況のRun Value
MLBの分析をしている方、おそらくBaseball Savantというサイトにも関わっている人が以下のようなデータを公開していた。
この表の使い方を説明する。たとえば、１アウト走者なしから、１アウト２塁でという状況を作り出したときの生み出したRunは0.690-0.266=0.424という具合だ。（結果から実行前を引く）つまり、そのイニングで0.422点入る点を上げたということだ。
すこし遊んでみよう。無死走者なしでホームランを打ったとする。ここで点数は１点増え、無死走者なしが残るので結果のRunは1.000+0.500=1.500となる。しかし、もともとの状況のRunは0.500だったので、1.500-0.500で生み出したRun Valueは1.000だ。単純だ。
しかし、無死１塁でホームランを打ったとする。ここでは2点増え、無死走者なしが残るので、結果のRunは2.000+0.500=2.500だ。もともとの状況のRunは0.888だったので、2.500-0.888=1.612。２ランホームランを打った選手は1.612点のRunを生み出したことになる。
ここで、なぜ２ランホームランを打ったのに1.6点分しかRun Valueがないのと思うのかもしれない。残りの0.4はどこに行ったのか。それは一塁ランナーだ。１塁ランナーはホームランを打った選手の前に、Run Valueを0.500から0.888に+0.388増やしている。また、このように考えることもできる。一塁ランナーはもともとホームに帰還して得点する可能性があった。なので、ホームランを打ったバッターは付加価値にすぎないと。
バントが生み出す価値
少し話題から外れてしまったが、バントが生み出すRun Valueを考えてみよう。
多くの場合、無死１塁でランナーをアウトを一つ増やして２塁に送ることが想定される。その場合Run Valueは0.888から0.690になっている。つまり、得点のRun Valueを-0.198にしているということになる。
無死２塁から3塁も同様に考えると、0.968-1.131=-0.163である。
無死からのスクイズはどうだろう。
(1.000+0.266)-1.367=-0.101
スクイズですらRun Valueがマイナスになり、価値がない。
まとめ
要するに、送りバントは得点を減らす行為だということが分かったと思う。
実際はストライクカウントごとにRun Valueの値は変化していく。また、投手にもRun valueが存在する。これとは逆だ。加えて、ボールの球種ごとにRun Valueがつけられる。FangraphsのページにのっているwFAやwSLはまさにそのことだ。今回の記事はバントがメインというよりRun Valueがメインになってしまって申し訳ない。
ただ、なんとなくMLBがやばい世界だと伝わったのではないだろうか。ただ気を付けてほしいのは、今回扱った表はMLBのデータをもとにしているので、野球のレベルなどによってはRun Valueは変わってくるということを知っておいてほしい。
自己紹介
ここまで読んでいただきありがとうございました。。自分はかなりのMLB初心者で結構選手の名前がわからないことも多いのですが、優しく接してもらえるとありがたいです。なんかこんな記事を書く仕事とかしてみたいなと最近思っています。
フィリーズファンです。一応ドジャースも応援してます。
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https://twitter.com/empty8128（結構言葉遣いが汚いです。すみません）
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