#05 ヤンキー翻訳が毎日投稿体制を作り上げるまでの険しい道のりとは?【ヤンキーの溜まり場ラジオ】
※音声版は「ヤンキーの溜まり場ラジオ」でお聞きいただけます。
チーム解散、そして再構築へ
Marie 前回、ヤンキーさんの前に立ちはだかった問題っていうのが、大きく分けて2つありました。
1つが『しっかりしたマニュアルが準備しきれてなかった』っていうことと、もう1つはヤンキーさん自身が学生生活との掛け持ちをされていて、『チャンネルの運営に割く時間が足りなかった』っていうところでしたよね。
ヤンキー そうですね。一学生だったので、経験が足りなかった、っていうのをすごく実感しましたね。
Marie ヤンキーさんがどうやってこれらの問題を解消していったのか、っていうのをさっそく聞いていきたいと思います。
まず、時間に関してなんですけども、チャンネル運営の時間っていうのはどうやって確保していったんですか?
ヤンキー ちょうど2021年の7月~8月ぐらいに「これはやっぱり難しいな」というか。一旦(当時の)チームを解散してから「じゃあ、どうしよう」ってなった時に、(やったことは)大きく分けて2つありまして。
1つは部活を辞める、という(笑)。
Marie (笑)
ヤンキー もちろん翻訳チャンネルをやるためだけに辞めた、とかじゃないんですけど(笑)。いろいろ怪我とかも重なって・・・。
Marie 1個確認してもいいですか?(笑)
遠征先で編集してたのが(バレて)怒られたから、っていうことじゃないですよね?(笑)
ヤンキー もちろん違います(笑)。辞めさせられたとかではなく、自分の意思で退部する、っていうことになって。
(所属していた)部活の中での仕事みたいなものもあったので、それがなくなったのがすごく大きかったっていうのと。
あともう1つは、大学を休学するっていう。1年間くらい大学を休学して(チャンネル運営を)やるっていうところを・・・今考えると、YouTubeをやるために部活と大学を辞めるとか休むって、すごいことだと思うんですけど。
でも、そういった形で時間はすごく確保できましたね。
Marie 確かに私も自分が大学生で、友達でそういう決断をするって子がいたら「いや、だいぶ思い切ったな」とは思うと思うんですけど。
でも、必要だったから、っていうことですもんね。
ヤンキー そうですね。自分の(チャンネル運営への)熱がすごく高くて、そこに時間を使いたい、と思っていたので。
Marie さっきチラッと言われてたんですけど、最初に採用になったお二人っていうのは、契約が終了になったっていうことですよね?
ヤンキー はい、そうですね。辞めてもらったというよりは、自然消滅みたいな形に近いですけど。
やっぱり、上手く回らなくてっていうところで、一旦止めて、そこから新たに翻訳者を募集しようって形になった、ってことですね。
Marie 何か、2回目の採用にあたって気を付けられたことってありましたか?
ヤンキー 1回目の反省としては、そもそもアニメを好きじゃないとか、興味がない人っていうのを翻訳者さんとして雇ってしまった部分があって。
そうなった時に、やっぱり翻訳の精度もそうですし(仕事への)熱量ってところもちょっと低くなっちゃうな、っていう反省があったので、まず『アニメが好き』っていうのは大前提で募集して、採用した、っていうところはあります。
Marie 私が応募させていただいた時にも、条件の中にありましたもんね。このアニメ作品から何作品見てるか、みたいなチェックリストが。
ヤンキー そうですね。ただ単に「アニメが好きですか?」っていう質問を設けたとしても、それは「好き」って皆さん答えると思うんですけど、やっぱりどれぐらいの作品を見たか、っていうのは大事だと思います。
Marie そうですよね。結局「じゃあどれぐらい見てるんだ?」っていうところでわかってきますもんね、(仕事への)熱量っていうのが。
ヤンキー (対象の)アニメを見てないと、そもそも翻訳もできないと思うので、そこは大事だと思いますね。
新体制がスタート!
Marie それで、アニメが好きで、SOS兄弟のことも好きなメンバーっていうのが集まってきたってことですかね?
ヤンキー そうですね。ヤンキー翻訳の中で翻訳者名って、ニックネームみたいな形で皆さんに付けてもらってるんですけど。
ざやさんって方と、sasakamaさん、ムムコさん、っていうお三方と、私っていう4人体制で、新たに再スタートを切ったって感じですね。
Marie 未だに一緒にお仕事させていただいている大先輩がいたりするので、すごい長い付き合いなんだな、とびっくりしました。
ヤンキー まだ残ってらっしゃる方もいて、歴史を感じますよね(笑)。
Marie そうですよね。何か私もすごい嬉しくなっちゃって。
「そんな最初期の頃から一緒にやって来られてる仲間がいるんだ、すごいな」みたいな感じで。
ヤンキー なかなかないですよね。
Marie ないですよね。結構(契約が)短いスパンになっちゃうのかなって思いましたもん。
それで(4人体制で)新たにスタートを切ったってことなんですけど、新体制になってから、何か変わったこととかってありました?
ヤンキー やっぱり前回の反省をめちゃくちゃ意識して、改善していったっていうのが(一番)変わったことではあるんですけど。
まずはチーム運営の基盤を整理しよう、というところで、今だと普通になっていると思うんですけど、スプレッドシートを使って翻訳の進行を管理する、っていうのを取り入れたのがあります。
それまでは、メーリングリストっていう過去の遺物みたいなものがあるんですけど(笑)、それでいちいちメールのやり取りというか、一方的に(タスクを)投げて「これを〇〇までにお願いします」って形でお願いしてたんですけど。
そこをちゃんとスプレッドシートを使って、スケジュールもちゃんと見えるようにして、リンクとかも共有して、っていうのをやりましたね。
Marie ごめんなさい、メーリングリストが面白くて、ちょっと笑ってました(笑)。なかなか聞かなくないですか?メーリングリスト(笑)。
ヤンキー いや、本当に(笑)。だって一方通行じゃないですか、あれって基本(笑)。
Marie そうそう(笑)。
ヤンキー 今やちゃんとSlackっていうものがあるので、そこで双方向でちゃんとやり取りできるっていうのがめちゃくちゃ・・・まあ、当たり前ですけど(笑)、便利ですね。
Marie 逆によくやってたな、っていうぐらいの、なかなかのシステムですもんね(笑)。
ヤンキー そうですね、なかなかですよね(笑)。
(中略)
Marie 他に何かありましたか?
ヤンキー あとは新マニュアルというか。最初にチーム体制を開始した時には結構ガバガバなマニュアルだったんですけれど、それを今の(翻訳マニュアルの)原型に近い形の、きっちりしたマニュアルっていうのを作りまして。
そもそもの翻訳のスタンスだったりとか、語尾をどうするかとか、丸や点をどうするかとか、あとはお二人の一人称だったりとか、そういったところを翻訳者さん全体で統一感を持たせるようにしたっていうのがもう一つと。
あとはきっちりした分業体制も、新たにここで取り入れまして。前回話した時には最初から最後まで、全部翻訳者さんが一人でやるって形だったと思うんですけど。
この時にはちゃんと、翻訳者さんは(業務は)翻訳のみにして、もちろんリアクターもSOS兄弟のみで。
動画の選定だったり、(字幕の)チェックだったり、サムネイル作成やアップロードとか、その辺はすべてヤンキーがやるっていうところ(分業制)をやったことによって、全体の統一感と、チャンネルの方向性に関わる部分はちゃんと私が全部決めることができるようになった、って感じですね。
Marie 私、お仕事を始めさせていただいた時に、きっちりしたマニュアルがあって、それがすごく助かったんですよね。
右も左もわからない状態でお仕事を始めてる中で、ガイドラインがしっかりしてると「ああ、こうやってやっていけばいいんだ」っていうのが一目でわかるので。
それはその(4人体制の)時期に作っていただいてたから、っていうのもあるんですね。
ヤンキー ただ、あくまでその時期は原型があったって感じで、そこから何十回も改訂を繰り返してるというか(笑)。
必要に応じて「ここ、どうするんですか?」って聞かれたら「じゃあ、こうします」って答えて、その回答をマニュアルに書くっていうのを何度も繰り返していった感じですね。
Marie 私が入社した後でも、マニュアルの改訂って何度かありましたもんね。
ヤンキー そうですね。その度に柔軟に翻訳者さんに対応していただく形になるんですけど、それによってだいぶ(翻訳の質が)改善された感じはありますね。
Marie 少なくとも翻訳する側にとってはめちゃくちゃ助かるし、素晴らしいシステムだなと思います。
ヤンキー 視聴者さんからしてもやっぱり、翻訳者さんによって(訳が)全然違うっていうのはおかしな話というか、そもそもSOS兄弟は2人なので(笑)。
Marie そうですよね(笑)。動画によって喋り方が変わったらおかしいですもんね。
ヤンキー そうですね、一人称が変わっててもおかしいと思うので(笑)、その辺の統一感っていうのは大事だな、と思いますね。
チャンネルもようやく軌道に
Marie そんな感じでマニュアルを作って、分業制にした上でお仕事を進めていく、ってなった時に、新体制だと週あたり何本ぐらい動画ができるようになってたんですか?
ヤンキー 始めた当初はいろいろ試行錯誤だったので、1人(週に)1本やってもらう形で、大体週4本ぐらいだったんですけれど。
sasakamaさんっていう、スーパー翻訳者さんみたいな方が当時いらっしゃって、その方が週4本(翻訳を)お一人で担当してくださって。
Marie ちょっと意味がわからないんだよな~、すごすぎて(笑)。
ヤンキー そうなんですよ、翻訳やったことある方ならわかると思うんですけど、そのペースって結構、尋常じゃないペースだと・・・。
Marie いや~・・・私、うっかり週3本の(翻訳)スケジュールになっちゃった時、死にかけましたもん(笑)。
ヤンキー いや、本当そうですよね(笑)。結構、時間と体力を・・・あと頭がやっぱり疲れるじゃないですか、普通にやってたら。
Marie そうですね。集中力が一番に保たなくなっちゃうと思います。
ヤンキー ただ、(sasakamaさんに)「どうやってやってるんですか?」って聞いても、いつもはぐらかされるんですよね(笑)。
Marie タイムリープ的なことをしてたかもしれない(笑)。
(中略)
ヤンキー そういった翻訳者の方々の協力によって、当時「ヒロアカ」だったりとか「ハイキュー!!」だったりとか、そういったところの翻訳も開始できて。
あとは「進撃の巨人」のファイナルシーズンのPart2も、本家のSOS兄弟が動画を出してから、すぐにアップすることができたりとか。
そういった人気作を継続的にアップすることができるようになった、っていう形ですね。
Marie それは大きいですよね。要はチャンネルのラインナップが充実する、っていうことなんで。
見る側からしても「うわぁ、これも見れる。あれも見れる。楽しいな」ってなりますもんね。
ヤンキー その当時「ヒロアカ」と「ハイキュー!!」の(翻訳の)リクエスト量がすごくて。
(リクエストに)応えられないジレンマっていうのが、チームで(翻訳を)やったことによって、ようやくチャンネルとしてちゃんと動き出した、っていうイメージですね。
Marie そうなんですね・・・!
ブログの開設も
Marie 他に何か取り組まれたこととかってありましたか?
ヤンキー 同じ時期に個人ブログというか、チャンネルブログみたいなものを開始しまして。
リアクション動画内に出てきた英語表現の解説だったりとか、運営の裏側みたいなところを記事にしてまとめていったっていう感じなんですが、この溜まり場ラジオの前身にあたるというか。
Marie 確かに。
ヤンキー その当時はやっぱり顔出しすることには結構、抵抗があって。
「裏のやつが前に出てくんなよ」みたいに言われるのが怖い、みたいなところがありまして(笑)。
Marie ヤンキーさん、ちょいちょい何かちょっと、ビビる時ありますよね(笑)。
(中略)
ヤンキー ただ、顔出しが難しくとも、視聴者さんとなるべく信頼関係を作りたいってところは、ずっと前から思っていたので(ブログを)始めたっていうこともありますし。
リアクション動画ってそもそもマイナーな文化ではあるので、そういったところをもっと知ってもらいたい、みたいな部分もありますし。
あとはリアクション動画といったら、 著作権問題ってやっぱりつきまとう話だと思うので。
アニメ制作側の方に対して、どう誠意を見せていくかだったりとか、どういった姿勢で取り組んでいくかっていうところを、しっかりお見せしたかったっていうのもあったので、そういったところをブログで発信していった、っていう感じですね。
Marie ブログに関しては、私はお仕事をする前に読ませていただいたんですけど、どういう気持ちでチャンネル運営されてるのかっていうところとか、著作権の問題についてどういうふうに考えてらっしゃるかっていうことをしっかり読み取ることができて、「これだったら安心して応募できるかな」って思ったところがあったんですよね。
だから、見てる人との信頼関係を作るためのブログ、っていうのはすごいわかります。
ヤンキー そうですね。SOS兄弟のチャンネルであるのはもちろんなんですけど、それを作ってる人の気持ちはやっぱり知ってもらいたいですし、知ってもらうことで信頼してもらいたいっていうのがあるので。
それは溜まり場ラジオにも通じますけど、ずっと(思いとして)ありますね。
Marie なるほどな~。じゃあ本当にもう、たくさんのことが変わっていったっていうことだったんですね。
ヤンキー そうですね、はい。
チャンネル運営の核になるもの
Marie 新体制に変わった後の手応えっていうのは、何か感じられたりすることはありましたか?
ヤンキー 今までは週1本とかしか(翻訳動画を)出せなかったですけど、(新体制で)「ヒロアカ」だったり「ハイキュー!!」(の翻訳動画)を出していく中で、その動画すべてが数万回再生されるみたいなところで、やっぱり(視聴者の方が)見てくださってるんだな、っていうのを感じましたし、登録者数も2~3万人くらいに増えていって。
翻訳チャンネル界隈っていう狭い領域ではあるんですけれど、そこで一番(登録者数の)多いチャンネルの背中が見える位置まで来たっていうところで。
そこでやっぱり(自分の)チャンネルを一番大きくするんだと思って、がむしゃらにやっていたっていう感じですかね。
Marie 本当にすごい勢いですもんね。(ヤンキー翻訳を)始めた時期からそこまで辿り着く期間で考えると。
ヤンキー そうですね、あっという間に大きくなっていったってことですね。
Marie それって何かすごいやりがいがあるっていうか、ヤンキーさん的にもテンション上がりません?そういうのって。
ヤンキー 軌道に乗ってるってことがすごく楽しかった、っていうのはもちろんありますし、「自分がSOS兄弟を好きだったのは間違ってないんだな」っていう、自己肯定感ならぬ「好きなものを肯定してくれる」っていう、その、何て言うんですかね(笑)。
Marie わかります(笑)。自分のことを褒められるより、好きなものを一緒に「いいね」って言われる方が、何か喜んじゃいますよね。
ヤンキー そうですね(笑)。チャンネル(の機能)にコミュニティ投稿みたいなのがあるんですけど、そこで「SOS兄弟の魅力って何ですか?」みたいな質問をして、(そうすると)すごく皆さん挙げてくださるんですよ、魅力を。それを見てニヤニヤしてるっていう(笑)。
Marie 客観的に見るとちょっとヤバいかもしれないけど、私もたぶん読んでニヤニヤしてるんで、同類だと思います(笑)。
ヤンキー でも、それは視聴者の皆さんもそうだと思うんで、たぶん。
Marie 本当に短いスパンでの成長っていうことだったんですけど、どうしてチャンネルがそこまで成長できたと思われますか?
ヤンキー そうですね、試行錯誤していく中で、ヤンキー翻訳で「何を大切にするか」みたいなところに辿り着けた、っていうのが大きいのかなと思ってまして。
『SOS兄弟の言葉をありのまま、正確に丁寧にお伝えする』っていうところが、ヤンキー翻訳が存在する価値だと思ってるので。
それをマニュアルにも明記して、翻訳を私がチェックしたりする時にも、フィードバックでそれ(上記のモットー)を意識して、スタッフ内で認識や翻訳自体に齟齬が生じずに、統一感をチャンネル全体で出すっていうところをすごく意識して。
翻訳チャンネルっていう、運営主が出てこないチャンネルではあるけれど、そこを誠意を持って(運営を)やるっていうところはヤンキー翻訳の強みなのかな、と思います。
Marie 本当にこの頃っていうのはまさに、ヤンキー翻訳の方向性とか、チームとしての形っていうのが定まっていった時期だったんですね。
ヤンキー それと同時に、自分の中でも『リアクション動画に人生を捧げる』っていう覚悟が決まった時期でした。
Marie 覚悟か・・・すごい言葉だな・・・。
再生数とか登録者数とかがすごい速度で増えていく中で、この時期にチャンネルの核になるような部分っていうのをしっかり掴むことができた、っていうのは、本当に大きいことですよね。
ヤンキー そうですね。翻訳チャンネルっていうと、『外注』とか『仕組み化』だったり『自動化』みたいなワードが連想されることが多いかな、って思ってて。
他の方にも「翻訳チャンネルやってるんですよ」って言うと、(そういったことを)よく言われるんですけれど。
ただ、SOS兄弟のお二人を私が「好き」っていう気持ちだったりとか、丁寧に誠実に動画を作ろう、っていう気持ちは、視聴者の皆さんに伝わっている気がしていて。
その核の部分がしっかりしているのが、ヤンキー翻訳のいいところなのかな、って思えてます。
Marie 本当にそうだと思います。
私がお仕事をさせていただく前に、ずっと(ヤンキー翻訳を)見させていただいてたのも、そういうところをすごく感じてたからだろうな、って思うので。わかりますね。
こちらの資料によると、今お話いただいたような内容っていうのが、大体2021年の年末頃までの話だと思うんですけど、まだこれって2年近く前の話なんですよね。
ここからまたさらに何か起こるんですか?
ヤンキー いや、もうめちゃくちゃたくさんありますし、何なら次回の溜まり場ラジオが、視聴者さんにとっては一番面白いかもしれない、ということだけお伝えしておきます。
Marie え~、ちょっと楽しみすぎるんですけど(笑)。早く聞きたいんですけど、たぶんダメなんですよね・・・?
ヤンキー 今日はここまでということで(笑)。
Marie また出たよ~、いつものやつ(笑)。
でも、すごくいろいろ深いところまでお話しいただけて、ヤンキー翻訳っていうものの中で、大切なことを聞かせていただいたような気がします。ありがとうございます。
ヤンキー ありがとうございます。
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