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7ヒロインになれなかった私が見つけたポスト悪役

幼稚園のお遊戯会。最近の幼稚園では、不平等が起きないように、シンデレラが複数いたり、誰か一人にスポットライトが当たらないように工夫するらしい。私が幼稚園生のときは、そんなに甘くなかった。

はじめて取り組んだお芝居は、オズの魔法使い。みんな少女ドロシーになりたがる。私も、もちろん、ドロシーになりたい。ドロシーをめぐる、争奪戦だ。

しかし人生そんなに甘くはない。ちゃんとオーディションをして、選ばれるべき子が選ばれた。オーディションで選ばれなかった私と、その他大勢の子は、次にやりたい役に、手を挙げることになる。みんな、少女ドロシーの雰囲気に似た、可愛らしい役柄に手をあげる。私は、そんなことお構いなしに、率先して、西の悪い魔女役に立候補をした。

お話は知っていたので、主役と対峙する役なら目立つことができるので
はないか、という読みだった。競争相手が誰もいなかったので、希望通りに西の悪い魔女になれた。これは、たまたまであるが、フタを開けてみると、台本が、主役よりも主役級の出番で書かれていた。主役は、大勢の仲間を引き連れて、物語の中に登場するが、悪役は基本一人だ。

独壇場で舞台に上がることができる。私は、それを自分でちゃんと選んだ。ヒロインは正義の味方だけれども、悪役の方にも色々事情が悪役あって、悪役を引き受けている。本当は、優しい人なんだ。悪役は複雑だから、実は主役よりも主役級にシーンが大事にされる。ヒロインになれなかったら、振り切って悪役を引き受ける。ポスト悪役おすすめです。

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