みどりちゃん
私は服屋で店員さんに話しかけられるのが苦手だ。
なぜ苦手なのか?それは恐らく、ただ純粋に自分のペースを乱されるのが嫌だからだと、自分では思う。平たく言えば、ただのわがままなのかもしれない。
けれど、店員さんたちはそんなこと知る由もないので、入店早々「これ良いんですよ〜」などと、声をかけてくれる。
本当はやめて欲しい。本当に、ただ純粋になんとなく服を見たいときに限って、彼ら彼女らはうまい具合に近づいてくるのだ。
だから私は、「音楽を聴いています」が全面に伝わるように、わざと有線のイヤホンをして入店を試みたこともあった。それでも「何かあればお声がけくださいね」と声をかけられた。有線の意味がまるでなかった。なにかあれば、自分から声かけに行きますって。
__さあ、こんなことを300字ほどツラツラと書いてきたが、これを読んでいる人たちは、私がなにを生業にしているのか、気になっていることだろう(気にならん)
正解は、そう、服屋の店員だ。見事なフラグ回収。
絶対になるまいと思っていた私が、諸事情により、なってしまった。
なってしまった身なので、やはり「自分なにしてるんだろう」とか「このままで良いのだろうか」とかは、常に考えている。
その余計な脳内会議の延長で、私はふとみどりちゃんのことを思い出し、そしてなぜか文字に起こしてみようと思い立ってしまった。
彼女は、この前まで観ていたドラマの登場人物で、「美しい鳥」と書いてみどりちゃんなのだ。
学校が嫌いだったのに自ら教師になる道を選んだ過去があり、やはり教師時代には生徒から「なんで先生になったの?」と質問もされていた。
その質問に対してみどりちゃんは、「学校が嫌いな先生がいたら、学校が嫌いな生徒の気持ちが分かる、寄り添える」のような回答をしていた。(うろ覚えだが、雰囲気はこんな感じ)
学校が嫌いなのに教師になったみどりちゃんと、客として話しかけられるのが苦手な店員、当たらずも遠からずといったところだろうか。
今は辞める理由を探し回る日々で、特に楽しいとも思えないが、話しかけられるのが苦手な人にしかできない接客もあるのかもしれない。
不覚にもみどりちゃんの存在に救われた。あと少しだけ、頑張ってみようと思う。
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