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ハトの応援

日曜日、午前4時30分。
起きるとすぐにベランダを目視にて確認。本人に気づかれないようにカーテンの隙間からこっそり様子をうかがう。飼い猫もいつもと違う主の気配を察知したのか、足下にやってきました。
今朝もいる。
成人?らしき一羽のハトが、エアコンの室外機の上でスタンバイしていました。
私が陰から見ているのにも気づかないで、室外機の上でどっしり落ち着いているハト。さあ、いつでもどうぞ。

ある早朝のことでした。突然、爆音にも近い、そして何と言っているのかわからない音で飛び起きました。それがハトの鳴き声だと思い至ったのはしばらく経ってから。
あまりの音量に、最初は部屋の中にいるのかと思ったくらいでした。
ちょうどベッドの頭側のほうにベランダがありまして、室外機はそちら側の天井付近にあります。
室外機と上の階のベランダの隙間にうずくまる一羽のハト。
最初は、いったいどこで鳴いているのか、さっぱりわかりませんでした。
灯台もと暗し。
ハトって、あんなに大きな声で鳴くんですね。初めて知りました。
顔と声が合っていないような気がするのはハトに対する偏見でしょうか。

それからしばらくの間、私とハトの緊張状態が続きました。
それで思いついたんです。
そうだ、ハトより先に起きて、1回鳴くところを見てやろう。これを読んでいるあなた、そうです。正解です。暇なんです。

結論から言いますと、鳴き始めるところを見ることは叶いませんでした。
見ているうちは絶対に鳴かない。私がしびれを切らして、なにか飲みに行ったり、パソコンをいじったり、目を離した隙を狙って鳴くんです。あのヒト。ハトにはハトの掟があるんでしょうね。「人間に鳴くところを見られるべからず」
そうこうしているうちに、ハトが鳴いてくれるのがだんだん楽しみになりました。あの張りのある鳴き声を聴いているうちに、元気が出てきたんです。まるで自分のことを応援してくれているみたいでした。
実際の鳥の鳴き声をこんなに近くで聴いたのは、おそらく初めてだったし、よく動き、近づこうとするとすぐに高い場所へ移動する鳥を間近で見られるのは、とてもわくわくしました。

ハトの件があってからというもの、早起きが私の習慣となりました。
朝の、すんっとした空気はとても良いものですね。手垢のついていない朝の時間は、この世の幸福のひとつだなと思いました。一羽のハトのおかげで。
平和の象徴というのは、そういうことですか。きっと違いますね。

これを書いている今、ハトはもう姿を見せていません。
ある日を境に、ぱったりと来なくなりました。
きっと、今頃どこかで、あの腹の底からスコップで掘り起こすような頑丈な鳴き声で誰かを起こしているのかもしれない。
あれから私は、早起きが習慣となって、こういう記事を書いたり、ゆっくり朝食を食べたりしています。
ここまで読んでくださった方に心からの感謝を捧げます。
ありがとうございました。
伝書鳩を1回見てみたいです。
それではまた。




#日々の大切な習慣

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