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楽に生きたらどこへ行けるだろう

早朝の夢に、去年亡くなった叔母が出てきました。
夢のなかで、私は家族たちと叔母の葬儀に参列していました。
こじんまりとした広さの葬儀会場には、明るい音楽が流れています。
天井の照明は煌々と会場全体を隅々まで明るく照らし、きちんと並べられた椅子も壁に貼られたクロスも色はホワイトで統一されています。
祭壇は色とりどりの花々や果物で飾られ、とても華やかです。

私は喪服姿です。でも、あるいはもしかしたらコム・デ・ギャルソンのワンピースだったのかもしれません。
私は、自分の席で焼香の順番が来るのを待っていました。
参列者がそれほど多くないので、すぐに私の番がやってきました。
私は、葬儀に似つかわしくない軽やかさでもって立ち上がると祭壇の前へと進み、焼香とお参りを済ませると祭壇の上に置かれている大きく引き伸ばした叔母の写真に向かって深く一礼しました。

焼香台から会場の脇へと回って自分の席へ戻ろうとすると、会場の戸口で叔母に声をかけられました。彼女はにこにこ笑っていて、はっきりとした声で私の名前を呼びました。生前と同じ少しイントネーションに特徴がある呼び方で。
あっけにとられている私に向かって、彼女はこう言いました。

「ねえ、ちゃんと!お花、持って帰りなさいよ!
 こんなにもたくさんたくさん、あるんだから!いいわね?!」

そこで目が覚めました。
今年のはじめに「カーテンを少し開けておくとさわやかな気分で起床できます」というインターネットの記事を読んでからというもの、私の部屋のカーテンは常時20センチほど隙間が開いています。
そのせいで、部屋の中は自由に朝日が差し込んで、壁の白いクロスが太陽の光を反射してまるで昼間のよう。
私は、すぐに「ああ、さっきまで居た場所みたいだ」と思いました。

この文章を読んでくださっている皆さん、春の生活はいかがですか?
「春なのに・・・・」というやりきれない思いでおられる方がもしも、いらっしゃったら、おそらくあなたの肩にはずっしりと硬くて重たい何かが載っかっているのでしょうね。
いろんなしがらみにがんじがらめになって、それでもなお負けずに日々のやることをこなしている。ナイス・ナイス・ファイトです。

あなたには、きれいなお花を受け取る権利があります。
それは、受け取るべき利益であり、評価であり、自己肯定のためのプライドであり、自分と周りを照らす愛です。
ひょっとしたら長い間、差し出されているお花を尻目に、敢えて暗い方へ向かって進んできたのではないでしょうか。

私は、お花を持たないで、このマテリアルな世界へと戻ってきてしまいました。
だってしかたないですよね。叔母さん、いきなり現れるんだもの。しかも自分の葬儀に。
実は、叔母は亡くなってから何度も夢に出てきているんですよね。
今度、夢で顔を合わせたら、元気だった時の良く通るきれいな声で力一杯怒られるかも。やばいな。

ここまで読んでくださった方に心からの感謝を捧げます。
ありがとうございました。
それでは、また。







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