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「笑坂&吉野大夫ツアー」(8)

【番外12】 軽井沢赤バス(見晴台行き)

軽井沢駅から、熊野皇太神社のある見晴台駅に行くには赤バスを利用します。赤バスの起点は駅前ではなく、矢ヶ崎公園や大賀ホールの前を通って、約10分歩いたところの、ハーヴェストクラブ前です。

かるいざわ町内主要バス路線図(部分)
矢ヶ崎公園と大賀ホール
大賀ホール
ハーヴェストクラブ前赤バス乗り場

【ツアー23】 熊野皇大神社

わたしたちは、峠の熊野皇太神社を見学した。急な石段の脇に立札があって、日本武尊を祀っているのだという。それでわたしは、はじめてここが「吾嬬はや」の場所だと知ったのである。
「お父さん、いま群馬県と長野県の両方にいるんだぜ」
と拝殿の前で長男はいった。
「右半分は群馬、左半分は長野なんだよ」
そういって長男は、顔の真ん中を手で割って見せた。長男は小学校六年か中学の一年だったと思う。拝殿の前には古びた賽銭箱があって、同の鈴につけられた紐が、ちょうど真中あたりに垂れさがっていた。
「群馬県へ行ってきまーす」
長女は長男の真似をして、そんなことをいった。そして賽銭箱の前を左から右へぴょんと飛んでみせた。境内の手洗所は群馬県側にあるらしかった。

(「女街道」W176)
熊野皇太神社の急な石段
日本武尊「吾嬬はや」詠嘆の処
熊野皇大神社(長野県)と碓氷峠熊野神社(群馬県)
長野県と群馬県の県境

わたしたちは石段を降りて、休憩所に入り、峠の力餅を注文した。
(中略)
その日の天気は曇りだった。眼下は一面の雲海だった。それは本物の海のように見えた。わたしは振り返って、店の中の子供たちを呼ぼうとした。その拍子に足下に土筆を発見した。わたしは子供たちに手で合図を送った。力餅はまだ来ないらしい。妻と義妹と二人の子供全員が裏へ出てきた。わたしは子供たちに眼下の雲海を指差し、自分は足下の土筆を取りはじめた。

(「女街道」W177)
旧中仙道碓氷峠頂上の「休憩所」
「休憩所」からの眺め(群馬県方面)
足下の土筆は殆ど見当たらず
峠の力餅(大根おろし・みそくるみ)

【番外13】 見晴台

熊野皇太神社に隣接する見晴台も、旧軽の癒しスポットの一つ。
見晴台は碓氷峠の頂上の近く、標高1200mに位置する展望公園。長野県と群馬県の県境に位置し、浅間山、妙義連峰、晴天時には南アルプス、八ヶ岳も一望できます。
西には浅間山とその裾野に離山も見えます。

見晴台の入口
県境に並ぶ石
妙義連峰方面
浅間山と離山

【番外14】 離山

「山、高きが故に尊からず」
とわたしはいった。しかし、これも冗談にしかきこえなかったと思う。離山は千二百五十五メートルだという。追分は約千メートルだった。そこから離山の方へは、少し下り坂である。(中略)追分から百メートル下ったのだとしても、離山の山頂まで三百五十五メートルだった。標高九百メートルの高原の上に、ぽつんと立っている三百五十メートルの小山なのである。

(「離山」W208)
信濃追分駅付近からみた離山

山頂には三十分くらいいたと思う。弁当の握り飯を食べ、昼寝でもしようと思ったが、麦わら帽子を顔に載せると、風で吹き飛ばされてしまった。山頂は細長い平地で、小さな石積みのようなものがあるだけだった。
「あ、八風山だ!」
と石積みの上から長女が叫んだ。南には八風山が見え、西には浅間山が見えた。
「お父さん、八風山よりもここの方が高いんでしょ」
「ばか、そう見えるだけだよ」
と長男がいった。
「ずいぶん弁当が余っちゃったわ」
と妻はいった。

(「離山」W221)

標高は、浅間山が2568m、剣ヶ峰2280m、石尊山1667m、八風山1315m、荒船山1422m、離山1255m、碓氷峠は1956m。

浅間山方面(カシミール3Dによる離山山頂からの風景再現)
八風山方面(同上)
碓氷峠方面(同上)

(続く)

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