「わかりやすい文章」とは?
前回、「読みやすい文章」とは?というnoteを書いた。「読みやすい」と「わかりやすい」は同じように使われることも多いが、どう違うのだろうか?
「読みやすい」は文章のリズムや構文など表面的に使うことが多く、また好みもありそう。「わかりやすい」は「内容を理解できる」という、深い意味合いで使われることが多そう。
また、得てして取材時や調査時に難解になりそうだと感じられた内容において「(意外にも)わかりやすかった!」といった言葉が使われる。また、基本的に知らないできごとを述べる「物語」などの分野には使われない形容だ。
「わかりやすい」は読み手の知識レベルによる
当然ながら、わかりやすいかどうかは読み手の知識に大きく左右される。10歳の子どもと、30歳の大人ではわかりやすい文章は異なるだろう(ただし、10歳の子どもがわかりやすい文章は、30歳の大人でもわかりやすいだろう)。
だから、わかりやすい文章を書く際に、誰が読むのかを気にしなくてはならない。例えば金融商品のことを書くときに、読み手は金融についてどの程度の知識を持った人なのかを把握する。そのうえで、その人が知っていると想像できる言葉だけで文章を書くのだ。
「わかっていること」で埋め尽くす
わかりやすい文章は、読み手が「(ぼんやりとでも)わかっていること」で埋め尽くすことが大切だ。例えば、
・知らなかった言葉を出すなら、知っている言葉で説明を入れる。
・「よくある事例」で「あるある」と思わせる
・新しい概念は「知っていること」に例える
など。
誰でも、知らないことを知らないままにするのは気持ちが悪い。知らないことを登場させるなら、すぐに「知っていること」に変換する工夫が必要だ。それも、即座に。
できるだけ疑問を持たせない(疑問を先回りする)
「知らないままにする」のと同様に、疑問を持ったまま文章を読んでいくのもなかなか骨が折れる。読み手に疑問を持たせないことは「わかりやすい文章」に必要なことだ。いろいろあるが、例えば次のようなことが有効。
・よくある誤解をきちんと否定する(いったんフラットにする)
・グラフや図を使う(視覚的に理解してもらう)
・専門家の意見など、権威の力を借りる(「ほんとかよ?」という疑いを晴らす)
・「矛盾するようだが」「何度も言うが」といった説明を入れる(「なんでやねん!」を避ける)
相手の疑問を先回りして潰していくといい。書き手の想像力が試される。
疑問を持った方が面白い場合も
もちろん、疑問が余韻として残るような、大変面白い文章もある。でもそれは、大きな疑問が、たくさんの「わかりやすい文章」に包まれているから。疑問だらけの文章は読めたものではない。
当然ながら「わかりやすい」だけではつまらない文章になる。ただ、「わかりやすい文章」は「知っている」の分量が多く、「疑問」の分量が少ないとひとまず考えておきたい。
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