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「エブリシングバブルの崩壊」は終わったのか?

■2022年前半は米株にとって1970年以来の最悪の相場だった…

 2022年前半は米株にとって1970年以来の最悪の相場でした。米株最大の指数であるS&P500は20.6%下落し、ナスダック指数の下落は30%を超えました。米株が大きく下がった背景にあるのはインフレです。40年ぶりの高インフレでFRBは利上げを開始し、量的緩和を終了させました。

 米株はハイテク株を中心に大きく崩れていますが、ほかのリスク資産も安全ではありませんでした。金利上昇で国債価格が大きく下げ、暗号資産は全体として時価総額の7割を失い、安全資産としてみられる日本円まで大きく価値を失いました。唯一の逃げ場は一部のコモディティでした。ウクライナ戦争の激化で原油、天然ガスを中心にコモディティ価格は高騰しました。

 今年前半のマーケットの動きは3月に発売された私の著書「エブリシングバブルの崩壊」(集英社)で予想した通りでした。

エブリシングバブルの崩壊(集英社)

 ありとあらゆる資産クラスでバブルが発生し、2022年前半に大きな調整が来ることを本書で指摘しました。しかし、米株は7月に入ってから大きく切り返して上昇しています。ナスダックが安値から20%反発したことで、新たな強気相場がスタートしたと米メディアが報じるほどです。

■エブリシングバブルの崩壊は終わったのか?

 ここで気になるのは、「エブリシングバブルの崩壊は終わったのでしょうか?」、「米株は底打ちし、今後上昇をし続けるのでしょうか?」ということです。

 端的に言いますと「終わるどころかまだ始まったばかり」です。

 米メディアが盛り上がっている理由のひとつは、21%下落した1970年の米株はその後半に切り返して26.5%上昇したからです。同じようなことがまた起きるという淡い期待を膨らませています。特にナスダックが底値から20%反発したことを完全に調整が終わったととらえています。

 この考えにもちろん何の根拠もありません。下げ相場中の強い反発はよく起きますし、下げ相場の特徴ともいえます。なぜならば、チャートはトレンドに対して調整するからです。トレンドが強気なら下げて調整しますし、トレンドが弱気なら反発して調整します。

■米株バブルはどのくらい下落したら崩壊と言えるのか?

 下のチャートをご覧頂きたい。リーマンショック時のS&P500ですが、米株が天井を付けた2007年の夏以降に何度も大きな反発を繰り返しながら下がっていっています。典型的な弱気相場チャートです。下げの途中で「15%、9%、15%、10%」反発をして、リーマンブラザーズの破綻で暴落した後に20%と27%の反発を起こして、底に向かっています。

 最終的には高値から6割近く下げて下げ相場は終了しました。バブル崩壊とはそういうことです。

 大型指数で高値の半値を割らないと終わりません。半値を割ってからさらに潜ることもありますが、まずは半値です。その観点で考えると米株バブルの崩壊は終わったとはとても言えません。

大型指数で高値の半値を割らないとバブルは終わらない。リーマンショック時のS&P500指数のチャートがそれを物語っている…

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