王女は廃墟で手紙を書く
そこは彼女ら王族のかつての居城で
飢饉と戦(いくさ)で国ごと滅んだ
格差社会の行き着く果てだ
以前ここを訪れた東洋の詩人は一掬のナミダを注いで
兵どもが夢の跡
などと詠ったものである
荒野では亡霊となったハムレットがさ迷っている
(それが憑在論といふやつかね?)
奴さん、青白い顔でやけに深刻そうだけれど
王女ときたら鼻歌まじりで暢気なものだ
強き者よ、汝の名は……
襤褸のような衣裳に 宝石の欠けた王冠
それでもフシギとみすぼらしくはない
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?