宇宙日記②

一ヶ月以上の瞑想コース。日頃のものさしで考えると長く感じるが、毎日が濃密なレッスンで暇な時なんて片時もなかった。毎日毎日、これでもかと課題が出てくる。それに直接触れ、向き合って解いていく。延々に続く長い方程式を解いているようだった。無数の星が頭上を通り過ぎるように多くのインスピレーションが降りそそぎ、明け方の空に薄らぎ通過していった。今回それらを解く量とこなすスピードが速かった気がする。

今日はこの課題(それらは感覚・思考と結びついている)を最初から最後までぶっとおして観察する。そしていつの間にか難題は解かれてクリアしている。すると次の日は昨日解いた問題がはるかかなた小さく思える。たった昨日あれを通過したのか。そんな感じ。で今日はこれ。新しい課題もしばらくするとクリアになり、景色が明ける。星から星へと宇宙を旅行しているみたいだった。それらは身体に蓄えたたくさんの記憶と結びつき、ヒントやメッセージとなり、解へと導いてくれた。

そしてコースが終わるころ、今自分が至れるところまでの十分な解にたどり着いたと感じた。今まで出会ってきた人々の言動や読んできた本の一説など、それら全てが星座を形作るようにメッセージとして提示された。今の生において、身の回りで起こっている現象においてや、潜り抜けてきた謎だったことについて、もう解らないことはあんまりなかった。ただ解を受け取り、コースが終わると静かにしずんでいき、徐々に言語化できなくなっていった。

そういえば、30日を過ぎてから一度、講話の時間に古い記憶がでてきて、涙がとめどなく出てきたため、iPodを置いて席を立たねばいけないことがあった。けれど、コース終わりの頃には泣きたい気持ちはもう見当たらなかったし、どこにも痛みを感じていなかった。過去に背負った感情を思い出そうにも、遠い過去に置いてきたみたいに、この身体の感覚として引き戻すことはもうできなさそうだった。宇宙はどこまでも優しい。今世でもう大きく悲しむことも喜ぶこともないだろうと、なんとなくそう思った。

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